セッション情報 口演

胃腫瘍-臨床-2(内科)

タイトル O-213:

StageIV胃癌に対するconversion therapyの検討

演者 佐藤 康裕(国立病院機構北海道がんセンター消化器内科)
共同演者 佐川 保(国立病院機構北海道がんセンター消化器内科), 久保 智洋(国立病院機構北海道がんセンター消化器内科), 中村 とき子(国立病院機構北海道がんセンター消化器内科), 藤川 幸司(国立病院機構北海道がんセンター消化器内科), 高橋 康雄(国立病院機構北海道がんセンター消化器内科)
抄録 【目的】化学療法の進歩によりStageIV胃癌に対しても著効例を多く経験するようになり,down-staging後の外科切除により根治が得られる症例も稀に経験する.このような化学療法後の手術介入(conversion therapy)が治療戦略の一つとして議論されているが,適応とすべき症例や手術時期についての明確なconsensusは得られていない.今回我々は当院で化学療法が奏効し手術を施行した症例の治療成績を検討したので報告する.【方法】2005年から2013年までに当院で診療を行った初発StageIV胃癌181例のうち,化学療法が奏効し根治を目的として手術を施行した29例についてretrospectiveに解析した.【結果】患者背景は 男/女が21/8例,年齢中央値は65歳(33-81歳),非治癒因子は領域外リンパ節転移19例,腹膜播種6例,肝または肺転移7例(重複あり)であり,二因子の症例は3例であった.Conversion therapyを行った症例の16例(55.2%)がリンパ節転移一因子のみの症例であった.初回治療はDCS 21例,DCS+trastuzumab 3例,S-1+CDDP 2例,その他3例,手術までの期間は中央値3 M(2-22 M),術前化学療法のregimen数は1/2/3が21/7/1例であった.術式は胃全摘/幽門側胃切除が7/22例,合併切除臓器は肝1例,卵巣1例であった.腫瘍遺残R0は19例(65.6%)で達成され,化学療法治療効果はGrade 0/1a/1b/2/3が2/11/5/7/2例であった.術後補助化学療法はS-1単剤/S-1+CDDP/S-1+taxan/wPAC/CPT-11/投与なしが10/4/6/2/3/4例であり,前治療や全身状態,経口摂取状況により多岐にわたった.術後の無再発生存期間中央値は15 M,生存期間中央値は30 Mであり,3年生存率は46.7%であった.多発肝転移の2症例で5年以上の長期無再発生存が得られている.【結語】化学療法後conversion therapyをおこなった症例の予後は良好であり,長期無再発生存例も認めた.しかし,今後は適切な前向き研究によりその是非が検討されなければならないと考える.
索引用語