セッション情報 口演

胃腫瘍-臨床-2(内科)

タイトル O-215:

切除不能胃がん症例における予後スケール作成の試み(第2報)

演者 河越 哲郎(日本医科大学消化器内科学)
共同演者 丸木 雄太(日本医科大学消化器内科学), 名児耶 浩幸(日本医科大学消化器内科学), 小杉 友紀(日本医科大学消化器内科学), 飽本 哲兵(日本医科大学消化器内科学), 大森 順(日本医科大学消化器内科学), 山田 章善(日本医科大学消化器内科学), 山脇 博士(日本医科大学消化器内科学), 小高 康裕(日本医科大学消化器内科学), 新福 摩弓(日本医科大学消化器内科学), 植木 信江(日本医科大学消化器内科学), 小林 剛(日本医科大学消化器内科学), 楠 正典(日本医科大学消化器内科学), 二神 生爾(日本医科大学消化器内科学), 三宅 一昌(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学)
抄録 (目的)化学療法を行った切除不能胃がんの生存期間中央値は13か月程度と報告されるが,各症例毎に見れば長期生存例も短期生存例も存在する.各症例毎の予後が推定できれば,より有意義な医療を提供できるものと思われる.しかし,現在,進行胃がんの予後スケールで確立されたものは存在しない.そこで今回,我々は切除不能胃がんの予後因子を検討し,予後スケール試案を作成することを目的とした.(方法)当科で2005年4月から2011年10月までに化学療法を施行した切除不能胃がん症例を対象とし,13か月以上の長期生存群(15名)と最短生存症例から15名の短期生存群に分類し,患者側,腫瘍側,治療側のそれぞれの因子において比較解析を行った.その結果をもとに予後スケールを試案した.(結果)化学療法を施行した全65名の生存期間中央値は14カ月であった.長期生存群の生存期間中央値は28カ月,短期群は5カ月であった.両群で統計学的有意差を認めた因子は患者因子ではPT,LDH,ALPの値であり,腫瘍因子では肝転移量と腫瘍マーカー値,治療側因子では無増悪生存期間であった.これら6因子にperformance statusを勘案して予後スケールを試案した.試案スケールと予後因子調査対象患者30名の予後は有意に相関した.また,試案スケールと予後因子調査対象外患者30名の予後も有意に相関した.(結論)今回,試案した予後スケールは切除不能胃がんの予後予測に有用である可能性が示唆されたが,今後,さらに,このスケールの意義と妥当性の調査が必要と考えられる.
索引用語