セッション情報 | 口演膵癌 基礎1 |
---|---|
タイトル | O-219:膵癌の発生・進展におけるBcl-xLの意義 |
演者 | 池澤 賢治(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学) |
共同演者 | 重川 稔(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 岩橋 潔(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 川口 司(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 清水 聡(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 名和 誉敏(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 疋田 隼人(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 阪森 亮太郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 宮城 琢也(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 巽 智秀(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学) |
抄録 | 【目的】膵癌切除検体を用いた検討では,正常膵と比し癌部ではアポトーシス抑制蛋白であるBcl-xLの発現が上昇しており,Bcl-xLの発現が高い症例は予後不良であることが報告されている.近年,膵癌の前駆病変としてpancreatic intraepithelial neoplasias(PanINs)という分類が提唱され,異型度に応じてPanIN-1~3へと段階的に進行し,浸潤癌へ進展すると考えられている.我々は膵発癌モデルマウスを用いて,PanINsおよび浸潤性膵癌の発生・進展におけるBcl-xLの意義を明らかにすることを目的とした.【方法】1)膵特異的に変異型krasG12D遺伝子を発現する遺伝子改変マウス(KrasLSL-G12D/+-Pdx1Cre:KrasG12D)を作製した.コントロールは同腹のPdx1Creマウスとし,膵組織像について経時的に比較検討した.2)KrasG12DとBcl-xLトランスジェニック(Tg)マウスを交配させ,KrasG12D-Bcl-xLTgマウスを作製した.コントロールを同腹のKrasG12Dとし,膵組織像について比較検討した.【結果】1)KrasG12Dにおいて生後2か月の時点でPanINsが形成されていた.PanINsは経時的に増大,異型度の進行を認め,生後1年以上経過したマウスでは浸潤性膵癌の所見を認めた.またBcl-xLの免疫組織化学では,癌部のみならずPanINsにおいても正常膵と比しBcl-xLの発現上昇が認められ,膵癌進展早期からBcl-xLの関与が示唆された.2)生後2か月の時点でKrasG12D-Bcl-xLTgマウスのPanINsにおける異型度はコントロールと比しより進展しており,20%(1/5匹)に腺管癌の所見を認めた.また生後4ヶ月の時点でコントロールでは腺管癌を認めなかったが,KrasG12D-Bcl-xLTgマウスでは100%(n=10)に腺管癌の所見が認められ,Bcl-xL強制発現により腫瘍進展が促進したと考えられた.また生存率もコントロールと比し極めて不良であった.【結論】膵発癌モデルマウスを用いた検討により,Bcl-xLが腫瘍進展促進に寄与している可能性が示唆された. |
索引用語 |