セッション情報 | 口演膵癌 基礎1 |
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タイトル | O-220:ヒト膵癌におけるCD155発現の臨床的意義とそのメカニズム |
演者 | 西和田 敏(奈良医科大学消化器・総合外科) |
共同演者 | 庄 雅之(奈良医科大学消化器・総合外科), 安田 里司(奈良医科大学消化器・総合外科), 赤堀 宇広(奈良医科大学消化器・総合外科), 木下 正一(奈良医科大学消化器・総合外科), 長井 美奈子(奈良医科大学消化器・総合外科), 山戸 一郎(奈良医科大学消化器・総合外科), 北東 大督(奈良医科大学消化器・総合外科), 川口 千尋(奈良医科大学消化器・総合外科), 右田 和寛(奈良医科大学消化器・総合外科), 中島 祥介(奈良医科大学消化器・総合外科) |
抄録 | 【目的】いくつかの癌種においてCD155過剰発現の報告があるが,その臨床的意義は明らかではない.今回,ヒト膵癌におけるCD155発現の臨床的意義およびその機序について検討した.【方法】術前未治療膵癌123例の切除標本を用いて,抗ヒトCD155抗体にて免疫組織染色を行い,CD155腫瘍発現と臨床病理学的因子,予後との関連について検討した.さらに種々の手法を用いて機序の解析を行った.【結果】(1)臨床的意義:CD155高発現群61例の1,3,5年生存率および生存期間中央値は各々60.3,16.8,10.7%,421日であった.一方,低発現群62例では各々72.6,23.1,15.0%,673日と,有意に予後良好であった(P=0.027).多変量解析ではCD155発現は独立予後因子であった(HR 1.859,P=0.006).CD155発現とTNM因子やstage分類との関連は認めなかった.(2)腫瘍内浸潤T細胞との関連:CD155高発現群において有意にCD8,CD4およびCD45ROのT細胞腫瘍内浸潤が抑制されていた(P=0.001,P=0.002,P=0.015).(3)血管新生との関連:CD155発現とVEGF mRNA発現およびCD31陽性腫瘍内微小血管とには有意な正の相関がみられ,腫瘍血管新生が機序の一端と示唆された.(4)膵癌細胞におけるCD155機能解析:さらに膵癌における直接的作用を検討するために,MIAPaCa-2,PANC-1細胞を用いて,siRNA法による検討を行った.その結果,CD155 knockdownにより増殖能および遊走能が阻害され,細胞周期解析ではG2 arrestがおこることが判明した.以上より,従来のTNM分類とは非依存性にCD155発現が予後に関連していること,機序として,CD155腫瘍発現による腫瘍免疫の抑制や腫瘍血管新生の促進,さらには膵癌細胞増殖能および遊走能の直接的促進作用が示唆された.【結論】膵癌においてCD155は多様な直接的・間接的機序により,腫瘍進展および予後に影響を及ぼすことが初めて明らかとなった.同時に新規治療標的分子となり得る可能性が示唆された. |
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