セッション情報 口演

膵癌 基礎2

タイトル O-225:

膵神経内分泌腫瘍の遺伝子解析により同定されたβ-catenin変異

演者 横田 雄大(山梨大学内科学第一講座)
共同演者 高野 伸一(山梨大学内科学第一講座), 深澤 光晴(山梨大学内科学第一講座), 高橋 英(山梨大学内科学第一講座), 進藤 浩子(山梨大学内科学第一講座), 門倉 信(山梨大学内科学第一講座), 佐藤 公(山梨大学内科学第一講座), 榎本 信幸(山梨大学内科学第一講座)
抄録 【目的】近年,次世代シークエンスによるWhole-genomeやWhole-exome解析からさまざまな疾患の遺伝子変異の全貌が明らかになりつつある.また,以前は困難とされていたFFPE標本での広範囲な遺伝子変異検索もなされつつある.今回われわれは,膵神経内分泌腫瘍(PNET)の切除組織を用いた次世代シークエンサーにより網羅的癌関連遺伝子変異の検索を行った.【方法】対象は2000年4月から2012年12月のPNET切除組織16例で,腫瘍部と非腫瘍部をApplied Biosystem? ArctrusXTTM Microdissection systemでレーザーマイクロダイセクションしDNAを抽出,Ion AmpliSeqTM Cancer Hotspot Panel v2(Life Technologies Corporation)を用い増幅後,Ion PGMTM Sequencerにてシークエンスを行った.遺伝子変異の検出は付属ソフトを用いhp19ゲノムをReferenceとした.またDNAを抽出した同じ標本でβ-cateninの免疫染色を行った.尚,本研究は遺伝子解析研究に関する本大学倫理委員会の承認および対象者からの同意を得て施行した.【結果】切除組織のFFPE標本からのDNA抽出及び,Cancer Panel Kitを用いたMultiplex PCRでのlibrary増幅は可能であった.シークエンスのリード数は平均32.1万であり,平均coverageは1,103,100xCoverage達成率は89.7%と精度も十分であった.得られた平均変異数は20個であり,PTENの他,APC,CTNNB1,TP53,PDGFR,STK11などの変異が検出された.このうちSPNではほぼ全例変異が認められるとされるCTNNB1(β-catenin)の変異が16例中4例に認められた.免疫染色を行うと,CTNNB1に変異が認められた症例中に,SPNで見られるとされているβ-cateninの核内集積が認められるものが存在した.【結論】PNET切除組織を用い,次世代シークエンサーで網羅的癌関連遺伝子変異検索を行ったところ,今まで知られていなかったCTNNB1の変異を同定した.この変異が高頻度に見られるSPNとの鑑別において注意が必要と考えられた.
索引用語