セッション情報 | 口演膵癌 基礎2 |
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タイトル | O-226:膵神経内分泌腫瘍のGrade診断における造影CTの有用性と病理学的背景の検討 |
演者 | 堀口 繁(岡山大学病院消化器内科) |
共同演者 | 加藤 博也(岡山大学病院消化器内科), 室 信一郎(岡山大学病院消化器内科), 野間 康宏(岡山大学病院消化器内科), 山本 直樹(岡山大学病院消化器内科), 原田 亮(岡山大学病院消化器内科), 堤 康一郎(岡山大学病院消化器内科), 白羽 英則(岡山大学病院消化器内科), 田中 健大(岡山大学病院病理部), 八木 孝仁(岡山大学病院肝胆膵外科), 岡田 裕之(岡山大学病院光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大学病院消化器内科) |
抄録 | 【背景】膵神経内分泌腫瘍(PNEN)は腫瘍細胞の分裂能によりGrade分類がなされ臨床的悪性度と密接な関連を持つ.PNENの標準的治療は手術療法であるが非治癒切除例では予後は悪く,Gradeにより治療法が異なるため非切除例におけるGrade診断は重要であるが,EUS-FNAでのGrade診断能は技術的な問題やKi67陽性細胞分布の不均一性の問題から施設間の差が大きい.今回Grade診断におけるCT値計測の有用性とその病理学的背景を検討した.【方法】2004年4月~2012年8月に当院で病理学的にPNENと診断した29症例を対象とした.全例で診断時にEUS-FNAとダイナミックCTを行い,最終的に手術を施行した.GradeはWHO2010分類に従い,造影効果の指標として動脈相における病変部CT値と膵CT値の比(CT値比)を用いた.腫瘍内血管量を評価するために手術検体の血管内皮細胞をCD31抗体にて免疫染色を行い,腫瘍部での血管面積の比(腫瘍血管密度:MVD)を求めた.【結果】EUS-FNAでのPNEN診断率は26/29例(90%)であったが,Grade診断率は9/26例(35%)と低い結果であった.CT値比と手術検体Gradeとの間には,Gradeが悪い病変でCT値比は低下した(p=0.001).CT値比のROC曲線から求めたcut-off値を0.075とするとGrade3の正診率は87%であった.またMVDはCT値比と正の相関関係が(p<0.0001),Gradeとは負の相関関係が認められた(p=0.0005).【考察】EUS-FNAに加え,CT値比を用いることでGrade診断能は大幅に向上した.MVDが高い,血管が豊富な病変ではCT値比すなわち造影効果が強く,同時に腫瘍分裂能が低いことが示唆され,この病理学的背景がCT値比計測によるGrade診断が可能な根拠と考えられた.EUS-FNAでGrade診断評価が困難な症例においては簡便かつ客観的なダイナミックCTによるGrade予測は極めて有用であると考えられた. |
索引用語 |