セッション情報 口演

膵癌 その他

タイトル O-230:

当院における胆石性膵炎27例の検討~早期EST施行群と非施行群を比較して~

演者 桑村 英里(JA香川厚生連屋島総合病院内科)
共同演者 松岡 裕士(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 小林 伸也(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 渡邊 桂子(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 細見 直樹(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 阿河 直子(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 正木 勉(香川大学医学部付属病院消化器・神経内科)
抄録 【緒言】胆石性膵炎において胆管炎合併例や胆道通過障害を疑う症例に対しては,早期にERCP/ESTを施行すべきである(急性膵炎ガイドライン:推奨度B)とされている.現在当院では胆石性膵炎に対してはESTを早期に施行している例が多いが,以前は早期に積極的にESTを施行していない症例もみられた.今回当院で経験した胆石性膵炎症を早期ESTを行った群とそれ以外の群に分けて検討を行った.【対象・方法】2005年9月から2013年8月までに胆石性膵炎と診断した27例を対象とした.そのうち胆石性膵炎の診断後,24時間以内にESTを行った群をA群(症例数15例,平均年齢73.7歳:51歳-90歳,男女比7:8),それ以外をB群(症例数12例,平均年齢75.0歳:47歳-94歳,男女比5:7)に分けた.B群には24時間以内にERCPは施行したがESTを行っていない症例も含めた.両群の臨床的特徴,治療成績などについて比較し,検討を加えた.【結果】重症膵炎はA群で7例,B群で4例に認めた.A群およびB群の全例に胆管炎もしくは結石による胆道通過障害がみられた.CRP陰性化に要した日数はA群が11.3日,B群が9.7日.絶食期間はA群が4.6日,B群が6.9日.入院日数はA群が16.5日,B群が17.4日でそれぞれ両群に有意な差は認めなかった.ただ経過中の膵炎の増悪例はA群が1例(6.7%)であったのに対し,B群が5例(41.7%)と,B群に多い傾向がみられた.B群のうち8例に待機的ESTを施行した.待機的ESTまでの期間は平均11.2日で,膵炎増悪例の4例は全例でESTを要した.【結論】今回,早期EST施行群とそれ以外の群では治療成績に明らかな有意差は認められなかった.しかし,経過中の膵炎増悪例はEST非施行群に多く存在し,EST施行後に劇的に改善する症例も認められた.全身状態や膵炎の重症度,胆管炎の状態などの十分な把握は必要であるが,早期のESTの施行は,胆石性膵炎の重症化の防止に大変有用であると考えられた.
索引用語