セッション情報 口演

胆道癌 化学療法

タイトル O-236:

腎機能低下を伴った切除不能胆道癌におけるGEM+CDDP併用療法の治療成績の検討

演者 稲富 理(滋賀医科大学消化器内科)
共同演者 神田 暁博(滋賀医科大学消化器内科), 園田 文乃(滋賀医科大学消化器内科), 今井 隆行(滋賀医科大学消化器内科), 塩谷 淳(滋賀医科大学消化器内科), 赤堀 浩也(滋賀医科大学消化器外科), 塩見 尚礼(滋賀医科大学消化器外科), 仲 成幸(滋賀医科大学消化器外科), 馬場 重樹(滋賀医科大学消化器内科), 藤山 佳秀(滋賀医科大学消化器内科), 安藤 朗(滋賀医科大学消化器内科)
抄録 【目的】切除不能胆道癌におけるGemcitabine(GEM)+Cisplatin(CDDP)併用(GC)療法を行う上で懸念される副作用にCDDPによる腎障害が挙げられるが,腎機能低下例に対するCDDP使用の適応や減量基準のプロトコールは施設ごとに異なるのが現状である.今回,当院で経験した腎機能低下例を含む切除不能胆道癌において,有効性および安全性を既存の治療法とretrospectiveに比較検討した.【対象】切除不能胆道癌のうち2011年以降初回治療にGC療法を導入した10症例および以前の他治療18症例(内訳はGEM単独群10例,GEM+S-1併用(GS)群8例)を対象とした.【成績】CDDPの平均投与期間は255日(10例中3例は継続投与中),中止理由はPD5例,副作用2例であった.GC群では10例中5例(50%)に治療開始前または経過中にCCr40ml/min前後の腎機能低下を認めたが,CDDP投与量を30%減量,うち3例はさらに隔週投与にて同治療を継続した.GC群の二次治療移行率は71.4%,Relative Dose Intensityは84.1%,Best overall responseはPR4例SD5例PD1例であった.無増悪生存期間中央値(PFS)は8.5ヵ月,全生存期間中央値(OS)は11.6ヵ月であり,腎機能低下群と非低下群で有意差を認めなかった.一方,GEM群のPFS,OSは4.3ヵ月,8.3ヵ月(p=0.02,p>0.05),GS群では8.3ヵ月,9.9ヵ月(p>0.05)であった.有害事象についてGC群では骨髄抑制が他群と比較し有意に高かったが,CTCAEgrade3以上の出現率は各群間で有意差を認めなかった.【考察】腎機能低下を伴った症例ではのCDDPの減量や投与間隔の延長を余儀なくされたが,結果的に長期の継続投与が可能であり,症例数が少ないものの既報の臨床試験と同様の良好な治療効果が得られた.使用可能な薬剤の少ない悪性腫瘍では,単一レジメンを長く用いることが重要であるという観点から,腎機能低下症例においてもGEM+CDDP療法を積極的に使用すべきと考えている.
索引用語