セッション情報 口演

胆道 その他

タイトル O-241:

肝細胞癌に併発した閉塞性黄疸に対する内視鏡的胆管ドレナージ術の検討

演者 杉山 元(久留米大学医療センター消化器内科)
共同演者 岡部 義信(久留米大学消化器内科), 倉岡 圭(久留米大学消化器内科), 佐々木 優(久留米大学消化器内科), 安本 真希子(久留米大学消化器内科), 牛島 知之(久留米大学消化器内科), 石田 祐介(久留米大学消化器内科), 加治 亮平(久留米大学消化器内科), 川原 隆一(久留米大学外科), 石川 博人(久留米大学外科), 堀内 彦之(久留米大学外科), 木下 壽文(久留米大学外科), 鶴田 修(久留米大学消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【背景と目的】肝細胞癌(HCC)による胆管侵襲は閉塞性黄疸を来たし,予後不良となる事が多い.近年は,Endoscopic biliary stenting(EBS)を第一選択とする事が増えているがしばしば難渋する.今回,HCCに併発した閉塞性黄疸に対するEBSの治療成績を明らかにし,その有用性と問題点をretrospectiveに検討した.【対象と方法】2003年3月から2012年12月までの間に,当院でHCCによる閉塞性黄疸を発症し,EBSを施行した連続36例.まずERCで胆管狭窄部位を確認.胆汁感染の程度や出血の有無を把握した後,初回ドレナージとしてENBDを行なった.減黄効果を確認後,EBS(plastic stent)へ交換した.検討項目は,1)患者背景,2)手技成功率とドレナージ効果,3)ドレナージ効果有効群と無効群の生存期間と背景因子,4)有効群におけるEBS開存期間,5)留置後の経過,6)合併症【結果】1)36例の内訳は男性30例,女性6例.年齢中央値は65歳,背景肝疾患は慢性肝炎3例,肝硬変33例.HCCの臨床病期はstage II,III/IVa/IVb=3/29/4.門脈浸潤は23例,hemobiliaは12例.2)手技成功率は100%.ドレナージ有効例は27例.3)生存期間中央値は有効群150日,無効群22日で統計学的有意差を認めた.肝切除歴がない症例,複数本留置症例においても統計学的有意差をみた.4)有効群のEBS開存期間中央値は43日.5)有効群の15例のみでHCCの追加治療が実施された.6)EBS手技に伴う早期偶発症は認めなかった.留置後の晩期偶発症は13例に認め,内訳はステント閉塞7例,感染3例,迷入3例であった.【結語】HCCに併発した閉塞性黄疸に対してEBSは安全に施行可能で,生存期間延長が示された.しかし,慢性肝疾患を有し胆管の閉塞原因やHCC治療歴も多様であるため,他の悪性胆道疾患に対するEBSとは異なるマネージメントが必要である.
索引用語