セッション情報 口演

胆道 その他

タイトル O-242:

胆嚢隆起性病変に対するソナゾイド造影超音波の使用経験

演者 長谷川 直之(筑波大学消化器内科)
共同演者 安部井 誠人(筑波大学消化器内科), 石毛 和紀(筑波大学消化器内科), 福田 邦明(筑波大学消化器内科), 兵頭 一之介(筑波大学消化器内科)
抄録 【目的】ソナゾイドを用いた腹部造影超音波は空間分解能・時間分解能に優れ診断能が高い.現在のところ,腹部領域では肝腫瘍診断に対して保険適用が認められているが,胆嚢隆起性病変の診断においても高い有用性が報告されつつある.本院でソナゾイド造影超音波を施行した胆嚢隆起性病変について検討し,胆嚢隆起性病変の鑑別診断における造影超音波の位置づけを明らかにする.【方法】2008年2月より2013年9月までに本院でソナゾイド造影超音波を施行した胆嚢隆起性病変12例ついて,造影超音波所見およびその後の経過を後視的に検討し,胆嚢隆起性病変における造影超音波の診断能を評価した.【結果】造影施行前の診断:胆嚢ポリープ10例,胆嚢腺筋腫症2例.平均年齢60歳(37-82歳),男/女:4/8例.病変平均径10.2mm(6-16mm).病変部位:頸部/体部/頭部1/7/3例.造影効果:早期に強く濃染かつ樹枝状/早期に強く濃染/胆嚢壁と同時に造影/造影されない1/3/7/1例.胆嚢ポリープのうち4例は早期に強い造影効果が認められ,胆嚢癌が否定できないと判断し,そのうち3例に対して胆嚢摘出術を施行した.病理所見はそれぞれ胆嚢癌1例(16mm),胆嚢腺腫1例(7mm),コレステロールポリープ1例(9mm)だった.胆嚢癌の1例のみ術前の造影効果は早期に強く濃染かつ樹枝状であり,他の症例と異なっていた.胆嚢壁と同時に造影された7例のうち5例は胆嚢ポリープと診断し,他の2例は造影によりRokitansky-Aschoff洞が明瞭となったことから,胆嚢腺筋腫症と診断した.造影前に胆嚢ポリープと診断したうち1例は全く造影されず,慢性胆嚢炎に伴う変化と診断した.【結論】ソナゾイド造影超音波検査は胆嚢隆起性病変において,リアルタイムに血流動態を評価することが可能となり,B-mode超音波検査を補う有用な検査となりうることが示唆された.
索引用語