セッション情報 口演

胆道 その他

タイトル O-243:

Tissue engineeringを応用した近未来胆道再建法―生体吸収性材料を用いた胆管修復,再生法の開発―

演者 宮澤 光男(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科)
共同演者 合川 公康(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 岡田 克也(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 渡邊 幸博(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 岡本 光順(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 山口 茂樹(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 小山 勇(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科)
抄録 現在,肝胆膵手術,胆管損傷の修復において,安易に胆管-腸吻合が行われているが,胆管癌の最大の危険因子とされているのは,胆管関連の手術既往である.この主理由は,この吻合によって,本来存在するVater乳頭部の機能を廃絶することにより,少なからず逆行性の胆管炎が起こるからと考えられる.それ故,このような吻合法は理想的とはいえず,近未来においては,この危険因子を減少させるべく可能な限り乳頭部を温存する治療法が求められる.我々は,これらの胆管-腸吻合を可能な限り回避する治療法を目指し,胆管病変部切除後あるいは,胆管損傷部に良好な胆管上皮を再生させる治療法を開発している.胆管自体の再生:(胆管癌,高度狭窄部を切除後の胆管欠損部に生体吸収性材料を利用し胆管を再生させる).材料として,生体吸収性ポリマー(BAP)のシートが利用可能かを検討している.現在までに,1)全周性ではない損傷に対し,BAPパッチの利用が可能(Surgery 2010),2)全周性の小範囲の損傷に対し,BAPチューブ(人工胆管)の置換が可能(J Gastrointest Surg 2012),3)全周性の広範囲の損傷に対し,人工胆管の置換が可能(Am J Transplant 2005),4)Vater乳頭部をこの人工胆管を利用して短期的には再生可能(J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2010).3-4cm範囲の胆管を環状に再生させることが可能であり,非常に期待のもてる結果である.胆管狭窄部の良好な再生:(胆管狭窄部を一定期間拡張させる).胆管狭窄部に対し,生体吸収性ステントによりその部位に良好な胆管再生が誘導されるかを検討している.初期の動物実験としては希望のもてる成績を得ており,臨床応用可能と考えている.本学会においては,我々の生体吸収性材料を応用した胆管疾患に対する新規治療法開発の展望と現時点における問題点を述べたい.
索引用語