セッション情報 口演

大腸 発癌 基礎

タイトル O-250:

潰瘍性大腸炎関連腫瘍の拾い上げにおけるp53免疫染色のunique basal patternに関する検討

演者 小林 俊介(獨協医科大学病理学講座人体分子)
共同演者 岡本 陽祐(東邦大学医療センター大森病院消化器センター内科), 秋元 直彦(日本医科大学消化器内科学), 岡本 健太郎(獨協医科大学第一外科), 冨田 茂樹(獨協医科大学病理学講座人体分子), 市川 一仁(獨協医科大学病理学講座人体分子), 三富 弘之(獨協医科大学病理学講座人体分子), 五十嵐 良典(東邦大学医療センター大森病院消化器センター内科), 藤盛 孝博(獨協医科大学病理学講座人体分子)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)関連腫瘍の発生率は長期罹患,広範囲病変で増加するため,その早期診断は重要である.UC関連腫瘍は生検診断においてHE染色で腫瘍と炎症性良性異型上皮との鑑別が困難である.NoffsingerらはUC大腸粘膜のp53免疫染色におけるunique basal patternが早期のUC関連腫瘍検出に有用であると記載したがunique basal patternの明確な定義の記載はない.そこで我々はp53免疫染色におけるunique basal patternの至適な客観的定義の明確化を目的とした.【方法】厚労省研究班によるUCにおける異型上皮の病理組織分類を参考にp53 unique basal patternを示したUC-2a 40病変,UC-2b 40病変,UC-3 23病変の合計103病変より得られた合計1039腺管(UC-2a 626腺管,UC-2b 256腺管,UC-3 157腺管)を対象とし画像処理ソフトウェアを用いて基底半分のp53免疫染色陽性率に応じてunique basal patternを次のように分類した;Grade0基底部半分のp53陽性率x=0%,Grade1 0%<x<10%,Grade2 10%≦x<20%,Grade3 x≧20%.Grade3を検定の対象としUC-2a,3病変におけるunique basal patternのp53陽性率をROC検定を用いて検討した.【結果】UC-2a,2b,3の群間P<0.05.ROC検定ではカットオフ値46.1%でUC-2a,3の識別の感度77.8%,特異度97.7%であった.Grade3を示した2b腺管のうち46.1%以上の腺管は25/256腺管(9.8%)であった.【結論】形態的にUC-2bであってもp53 unique basal patternにおける基底半分のp53発現率が46.1%以上であれば腫瘍性病変の可能性があることから,内視鏡的切除を行って浸潤も含めた積極的治療戦略への展開を可能にすることができる.unique basal patternの診断を標準化し生検診断に応用することでUC関連腫瘍の診断の精度管理や早期診断のマーカーにも活用できる可能性がある.
索引用語