セッション情報 | 口演大腸癌 |
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タイトル | O-255:大腸がんにおけるリン酸化上皮成長因子受容体ファミリーの局在と臨床病理学的意義 |
演者 | 辰口 篤志(日本医科大学消化器内科学) |
共同演者 | 三井 啓吾(日本医科大学消化器内科学), 米澤 真興(日本医科大学消化器内科学), 江原 彰仁(日本医科大学消化器内科学), 高橋 陽子(日本医科大学消化器内科学), 春日 裕介(日本医科大学消化器内科学), 遠坂 由紀子(日本医科大学消化器内科学), 小杉 友紀(日本医科大学消化器内科学), 鈴木 将大(日本医科大学消化器内科学), 馬來 康太郎(日本医科大学消化器内科学), 田中 周(日本医科大学消化器内科学), 藤森 俊二(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学) |
抄録 | 背景:上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーは,分化,増殖などの細胞応答に関与する4種類の密接に関係した受容体(EGFR,ErbB2/Her2,ErbB3/Her3,ErbB4/Her4)を含む.EGFRファミリーはリガンド刺激によってリン酸化され,活性化する.活性化EGFRファミリーの大腸がんにおける局在,役割についての報告は少数で,結論づけられていない.方法:大腸がん細胞株(Caco-2,DLD-1,and HCT116)を用いて,heregulin刺激によるerbB2,erbB3,erbB4のリン酸化に及ぼす効果をwestern blot法にて明らかにする.155例の手術検体を用いて,大腸がん組織におけるheregulin,リン酸化erbB2,erbB3,erbB4蛋白の局在を検討し,その細胞内局在を免疫組織学的に分析し,臨床病理学的因子,予後との相関を解析する.結果:Caco-2,DLD-1に対する外因性のHeregulin投与は,erbB2,erbB3のリン酸化を誘導し,それらは細胞質と核抽出成分の両者から検出された.HCT116に対する外因性のHeregulin投与は,erbB4のリン酸化を誘導し,細胞質と核抽出成分の両者から検出された.pErbB3は18%の症例で陽性で大腸がん細胞核に局在していた.pErbB2は21%に陽性で局在は核,細胞質,細胞膜と症例によって異なっていた.pErbB4は16%に陽性で,主に細胞膜,細胞質に局在していた.統計学的にheregulinの発現はpErbB4のそれと相関していた.単変量解析では,リンパ節転移とpErbB2,pErbB3,pErbB4,HRGの発現は予後不良と相関していた.多変量解析では,リンパ節転移とpErbB3,pErbB4が独立した予後因子であることが示された.結論:heregulinに刺激されたリン酸化ErbB2,ErbB3,ErbB4は,大腸がん細胞の核に移行しうることが示された.リン酸化ErbB3,ErbB4は大腸がん患者においてリンパ節転移とは独立した予後予測因子であることが示された. |
索引用語 |