抄録 |
[目的]準早期癌といわれるmp大腸癌は予後が比較的良好であるが,再発例も見受けられる.mp癌を臨床病理学的に検討しリンパ節郭清について考察した.[対象・方法]結腸23例,直腸20例,計43例を対象とした.累積生存率はKaplan-Meier法で求めp<0.05を,再発およびリンパ節転移危険因子はLogistic回帰分析でp<0.05を有意差ありとした.[結果]mp症例全体の累積5年生存率は97.3%で良好であった.リンパ節転移は9例ありn1:7例,n2:2例で全例の21%に認めた.転移個数はn1では1個が5例,2個が2例,n2では5個1例,9個1例であった.再発は3例で肝再発2例,局所リンパ節再発1例に認め再発率は7.3%(直死2例を除く)で,n0に1例,n1に2例あり3例中1例が癌死している.リンパ節転移の危険因子を組織型,脈管侵襲で検討すると有意な因子はなかった.再発の危険因子を組織型,脈管侵襲,リンパ節転移,CEA値,リンパ節転移個数,リンパ節転移度(25%以上,未満),郭清個数(12個以上,未満),郭清度で検討すると単変量・多変量ともリンパ節転移のみが選択された(p<0.05).リンパ節郭清はD1:1例,D2:15例,D3:25例であり,累積5年生存率はおのおの100%,100%,95.2%と有意差がなかった.また望ましいとされるリンパ節郭清個数12個以上(n=11),12個未満(n=30)でも累積5年生存率は100%,90.9%と差を認めなかった.リンパ節転移度での累積5年生存率は25%未満(n=6)83.3%,25%以上(n=2)100%と転移度でも差がなかった.[結語]mp大腸癌の20%にリンパ節転移を認め,リンパ節転移が再発危険因子であるが郭清度,郭清個数で生存率に差はなく,リンパ節転移例には術後の集学的治療が必要と考えられた. |