セッション情報 口演

大腸癌

タイトル O-259:

大腸癌の術前および術後フォローアップに血清CEA値とCA19-9値を測定する臨床的意義

演者 佐藤 美信(藤田保健衛生大学下部消化管外科)
共同演者 升森 宏次(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 小出 欣和(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 勝野 秀稔(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 松岡 伸司(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 前田 耕太郎(藤田保健衛生大学下部消化管外科)
抄録 【目的】大腸癌の術前および術後フォローアップで血清CEA値(CEA)とCA19-9値(CA19-9)の両者を測定する臨床的な意義を検討した.【対象・方法】CEAおよびCA19-9を測定しえた大腸癌1275例を対象にした.術前CEAとCA19-9をそれぞれ基準値例と高値例に分類し,臨床病理学的に比較した.次に対象を術前CEAの基準値(5 ng/dl以下:A群,804例),5-20 ng/dl(B群,281例),20 ng/dl-(C群,190例)に分け,さらに各群を術前CA19-9の基準値例と高値例に細分類し,各群におけるCA19-9基準値例と高値例の再発,予後を比較し,術前に両者を測定する意義を検討した.さらに再発時のCEAとCA19-9から両者を用いたフォローアップの有用例について検討した.【結果】根治度A症例におけるCEAおよびCA19-9高値例の5年生存率(5生率)は71.0%と61.6%で,いずれも基準値例に比べて有意に不良であった.根治度A症例におけるA群とB群の再発率はCA19-9高値例でA群:28.4%,B群:39.1%,5生率はA群66.4%,B群:54.1%で,いずれも基準値例に比べて有意に不良であったが,C群ではCA19-9高値例と基準値例で再発率,生存率ともに差を認めなかった.C群は根治度A全体の8.7%(92例)であった.B群+C群では再発時のCEA上昇は75.9%(63例)であったのに対し,A群では41.9%(52例)と有意に低率であった.A群の術前CA19-9高値再発例(21例)のうち,81.0%(17例)が再発時にもCA19-9高値で,52.3%(11例)は再発時にCEAの上昇無く,CA19-9のみが高値を示した.A群におけるCA19-9高値例は根治度A全体の7.0%(74例)であった.【結論】術前CEAおよびCA19-9高値例は基準値例に比べて予後不良であった.術前CEA20ng/dl以下ではCA19-9が再発および予後の予測に有用で,約93%の症例で術前CEAとCA19-9両者の測定がより詳細な再発および予後予測に有用であった.術前CEA基準値かつCA19-9高値例は全体の約7.0%を占め,これらではCA19-9を用いた術後フォローアップが有用と考えられた.
索引用語