セッション情報 口演

膵 IPMN 1

タイトル O-261:

当院におけるIPMN経過観察例の検討―IPMN進展・膵癌発生と拡張分枝径の関連

演者 萬代 晃一朗(京都第二赤十字病院消化器内科)
共同演者 白川 敦史(京都第二赤十字病院消化器内科), 岡田 雄介(京都第二赤十字病院消化器内科), 真田 香澄(京都第二赤十字病院消化器内科), 中瀬 浩二朗(京都第二赤十字病院消化器内科), 鈴木 安曇(京都第二赤十字病院消化器内科), 河村 卓二(京都第二赤十字病院消化器内科), 河端 秀明(京都第二赤十字病院消化器内科), 盛田 篤広(京都第二赤十字病院消化器内科), 宮田 正年(京都第二赤十字病院消化器内科), 田中 聖人(京都第二赤十字病院消化器内科), 宇野 耕治(京都第二赤十字病院消化器内科), 安田 健治朗(京都第二赤十字病院消化器内科)
抄録 (背景と目的)IPMN/MCN国際診療ガイドラインでは,分枝型IPMNに対する経過観察法は拡張分枝径ごとに分けられている.IPMN進展・膵癌発生と拡張分枝径の関連性について検討し,経過観察法の妥当性について考察する.(方法)2012年12月までに当院において1年以上経過観察した分枝型および混合型IPMN300例のうち,初回EUS時に壁在結節のなかった287例をretrospectiveに検討した.拡張分枝径30mm以上群と未満群に分け,IPMN進展率および膵癌(膵管癌とIPMN由来浸潤癌)発生率について比較した.進展の定義は,嚢胞径10mm以上の増大,主膵管径2mm以上の増大,壁在結節出現とし,ガイドラインに基づいて非浸潤癌はhigh-grade dysplasiaとした.統計学的解析はΧ2乗検定とT検定で行なった.(結果)経過観察287例中,膵癌発生は13例(4.5%)で,うち膵管癌は6例(2.0%)であった.拡張分枝径30mm以上群29例と未満群258例を比較したところ,30mm以上群の方が,IPMN進展率(34.4% vs 12.4%,p=0.004)およびIPMN由来浸潤癌発生率(13.7% vs 1.1%,p=0.002)が有意に高率であったものの,平均年齢も高齢であった(76.1歳vs 70.9歳,p=0.001).なお,膵管癌は30mm未満群にのみ発生していた.次に,拡張分枝径10mm未満の56例,10mm-20mmの153例,20mm-30mmの49例を比較したところ,平均年齢などの患者背景に有意差はなく,各群でのIPMN進展率(12.5% vs 9.8% vs 20.4%,p=0.146)および膵管癌発生率(3.5% vs 1.9% vs 2.0%,p=0.783)に有意差を認めなかった.IPMN由来浸潤癌発生率に関しては,10mm未満群で0例であったため,統計学的解析ができなかった.(結論)拡張分枝径30mm未満のIPMN症例においては,IPMN進展や膵管癌発生と拡張分枝径には関連を認めず,拡張分枝径ごとに経過観察法を分ける必要はないと考えられる.
索引用語