セッション情報 口演

膵 IPMN 1

タイトル O-262:

IPMN手術適応基準と経過観察法の検討

演者 毛利 輝生(広島大学病院消化器・代謝内科)
共同演者 佐々木 民人(広島大学病院消化器・代謝内科), 芹川 正浩(広島大学病院消化器・代謝内科), 南 智之(広島大学病院消化器・代謝内科), 岡崎 彰仁(広島大学病院消化器・代謝内科), 行武 正伸(広島大学病院消化器・代謝内科), 石垣 尚志(広島大学病院消化器・代謝内科), 石井 康隆(広島大学病院消化器・代謝内科), 小酒 慶一(広島大学病院消化器・代謝内科), 吉見 聡(広島大学病院消化器・代謝内科), 清水 晃典(広島大学病院消化器・代謝内科), 壷井 智史(広島大学病院消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学病院消化器・代謝内科)
抄録 【目的】IPMN国際診療ガイドラインの改訂により,新たに手術適応基準と経過観察法が設定された.今回IPMN手術例,および経過観察例の見直しを行い,新たな手術適応基準,経過観察法の妥当性について検討した.【方法】対象は当科で診療したIPMN220例である.1.手術例ではhigh-grade dysplasia,由来浸潤癌のIPMN形態分類,high-risk stigmataの有無2.経過観察中に手術を行った症例のIPMN形態分類,観察間隔3.IPMN併存膵癌の特徴と観察間隔をretrospectiveに検討した.【結果】1.症例の内訳は,主膵管型15例,混合型55例,分枝型150例であった.67例で手術を行い,high-grade dysplasia11例(主膵管型/混合型/分枝型:5/4/2例),由来浸潤癌14例(1/7/6)であった.high-risk stigmataの陽性率は,high-grade dysplasiaでは主膵管型100%,混合型50%,分枝型50%であった.由来浸潤癌(手術例)では100%,71.4%,66.7%であった.high-risk stigmataを認めなかった由来浸潤癌4例のうち3例はT1症例であった.2.経過観察中に病変の進行を認め外科的手術を行った症例は13例であった.混合型は25.0%(7/28)であり,分枝型5.7%(6/106)に比べ高率であった.分枝型は全例良性病変であり,混合型はhigh-grade dysplasia,由来浸潤癌を2例ずつ認めた.画像検査間隔は3-12ヶ月で,12ヶ月毎に経過観察されていた由来浸潤癌例は外科的加療後原病死した.3.併存膵癌は12例で認め,併存するIPMNの形態は混合型3例,分枝型9例であった.定期的な画像検査が行われていたのは3例であり,画像検査間隔は6-12ヵ月,2例は切除不能併存膵癌であった.【結論】High-risk stigmataはIPMN悪性所見として有用であり,新たな形態分類により悪性化のリスクの層別化が可能と思われる.また定期的な経過観察でIPMNに由来する悪性病変の進行は阻止できるが,併存膵癌は進行が速く短い間隔での定期的なスクリーニングが必要である.
索引用語