セッション情報 口演

膵 IPMN 2

タイトル O-266:

分枝型IPMNの治療方針決定における膵液洗浄細胞診+セルブロックの有用性

演者 斉藤 紘昭(順天堂大学消化器内科)
共同演者 崔 仁煥(順天堂大学消化器内科), 福村 由紀(順天堂大学人体病理形態学), 丸木 実子(順天堂大学消化器内科), 伊藤 智康(順天堂大学消化器内科), 石井 重登(順天堂大学消化器内科), 小森 寛子(順天堂大学消化器内科), 金澤 亮(順天堂大学消化器内科), 椎名 秀一朗(順天堂大学消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大学消化器内科)
抄録 【目的】分枝型IPMNの治療方針決定における膵液洗浄細胞診+セルブロックの有用性を明らかにする.【方法】当院においてERCPを行った分枝型IPMN 132例を対象とした.内訳は,EUSにて乳頭状隆起を認め膵液洗浄細胞診を施行しセルブロックを作成した43例,膵管内に明らかな乳頭状隆起を認めず経過観察を行った89例であった.経過観察は3~6カ月ごとに画像診断(CTまたはMRIまたはEUS)にて行った.膵液洗浄細胞診+セルブロックは既報の通り行い,HE染色,MUC 1,2,5,6の免疫染色を行った.【成績】膵液洗浄細胞診+セルブロックを作成した43例の内訳は,切除12例(腺癌9例,腺腫3例),経過観察31例であった.洗浄細胞診+セルブロック作成の癌に対する感度88%,特異度100%,陽性的中率100%,陰性的中率94%であった.MUC染色の病理組織所見との一致率は,MUC1 83%,MUC2 83%,MUC5AC 100%,MUC6 100%であった.経過観察例のうちMUC1陽性を示した6例中3例,MUC2陽性を示した17例中5例において増大傾向または膵炎の合併を認め,切除したMUC1陽性2例,MUC2陽性4例は非浸潤癌または微小浸潤癌であった.MUC1,MUC2ともに陰性の8例は著変を示さなかった.膵管内に明らかな乳頭状隆起を認めず経過観察を行った89例の平均観察期間は92ヶ月(12ヶ月~234ヶ月)であった.経過観察中,IPMNと同部位に発生した浸潤性膵管癌は1.1%(1/89),別部位に発生した浸潤性膵管癌は1.1%(1/89)であったが,いずれも進行癌であり造影CTにて診断された.【結論】膵液洗浄細胞診+セルブロックは,分枝型IPMNの良悪性の鑑別,治療方針の決定および癌の早期診断・治療に有用と考えられた.細胞診にてMUC1またはMUC2陽性の経過観察例は,癌の合併が高率であった.
索引用語