セッション情報 | 口演膵 IPMN 2 |
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タイトル | O-269:組織学的亜型と癌浸潤部亜型の観点から見たIPMN治療方針の検討 |
演者 | 山田 豪(名古屋大学消化器外科学) |
共同演者 | 藤井 努(名古屋大学消化器外科学), 神田 光郎(名古屋大学消化器外科学), 小林 大介(名古屋大学消化器外科学), 田中 千恵(名古屋大学消化器外科学), 中山 吾郎(名古屋大学消化器外科学), 杉本 博行(名古屋大学消化器外科学), 小池 聖彦(名古屋大学消化器外科学), 野本 周嗣(名古屋大学消化器外科学), 藤原 道隆(名古屋大学消化器外科学), 小寺 泰弘(名古屋大学消化器外科学) |
抄録 | 【背景】IPMNには多彩な異型度の病変が含まれる一方,腫瘍上皮の組織学的な形態をもとに亜型に分類されることも報告されてきた.また,近年では癌浸潤部における亜型分類もなされ,予後との相関も指摘されている.組織学的亜型はガイドラインにも記載され,IPMNの診療へもフィードバックされようとしている.【対象・方法】1993年9月から2012年12月までのIPMN切除例169例を対象とした.HE染色標本により,組織学的亜型(胃型/腸型/胆膵型/好酸性顆粒細胞型)を決定し,微小浸潤癌以上の症例に関しては,癌浸潤部亜型(管状型/膠質型)を判定した.【結果】1.分枝型/主膵管型は112/57例であり,異型度は腺腫/非浸潤癌/微小浸潤癌/浸潤癌は85/28/17/39例であった.組織学的亜型は胃型/腸型/胆膵型/好酸性顆粒細胞型は123/42/3/1例であり,癌浸潤部亜型は管状型/膠質型が42/14例であった.2.異型度と組織学的亜型との相関を検討すると,胃型/腸型は腺腫:75/10例,非浸潤癌:12/16例,微小浸潤癌:7/8例,浸潤癌:29/8例であった.主膵管型では胃型/腸型が35/20例,分枝型では88/22例と,分枝型では胃型を有意に高率に認めた.3.組織学的亜型と癌浸潤部亜型では,胃型では管状/膠質型が34/2例,腸型では4/12例となり,有意な相関を認めた.4.全症例で5年生存率を検討すると,胃型/腸型はそれぞれ83.3/92.7%と有意差を認めないが,非浸潤癌以上に限定すると胃型/腸型が52.7/89.7%であり,有意差を認めた.【考察】腺腫では胃型が高率であり,非浸潤/微小浸潤癌では低率となり浸潤癌では再度高率となっていた.胃型が浸潤癌となると癌浸潤部が管状型を示し予後不良となるが,腸型の癌浸潤部は膠質型となり予後良好であった.胃型である腺腫が癌化するメカニズムの解明は興味深く,また,IPMNの組織学的亜型を念頭においた診療が今後有用となる可能性が示唆された. |
索引用語 |