セッション情報 口演

膵 IPMN 3

タイトル O-270:

腸型IPMNの術前画像所見の特徴とその予測診断能の成績

演者 石井 清文(千葉大学消化器内科)
共同演者 山口 武人(千葉県がんセンター消化器内科), 横須賀 收(千葉大学消化器内科)
抄録 【目的】IPMNの組織亜型分類は予後や悪性率など臨床像と密接に関連する.従って術前に組織亜型分類が可能となれば予後の予測や悪性診断に有用でIPMNの治療方針決定に役立つ.本研究では腸型IPMNの術前画像所見の特徴を明らかにし術前亜型診断に応用することを目的とした.【方法】対象は2006年12月から2013年2月に当院及び関連1施設で術前に超音波内視鏡(EUS)及びCTを施行したIPMN外科切除例連続109例.手術適応は国際ガイドライン2006に従い,全例切除標本で病理学的にIPMNと確定診断が得られた.平均年齢67.4±8.2歳.男性72例,女性37例.主膵管型17例,混合型45例,分枝型47例.異型度はlow grade dysplasia 20例,intermediate grade dysplasia 20例,high grade dysplasia 43例,invasive carcinoma 26例.切除標本を用いてHE染色とMUC染色に基づき組織亜型分類を行い,腸型と非腸型に分類した.全症例術前にEUSで嚢胞径,最大主膵管径,結節径を測定した.また,全症例術前にCTを行い頭部,体部,尾部のそれぞれの膵前後径と主膵管径を計測しその差を膵実質径と定義した.腸型と非腸型で各術前画像所見を比較した.【結果】腸型36例,非腸型73例(胃型57例,胆膵型15例,好酸性顆粒細胞型1例).腸型と非腸型で有意差(P<0.001)を認めた画像所見は最大主膵管径(9.2±4.6mm vs 5.5±3.5mm),頭部実質径(17.1±7.6mm vs 23.4±6.4mm),体部実質径(8.3±4.8mm vs 13.7±5.4mm),尾部実質径(10.3±4.9mm vs 15.4±6.2mm)であった.各々ROC曲線よりcutoff値を設定すると6.0mm,19.2mm,10.0mm,14.0mmであった.頭部体部尾部3か所全ての実質径がcutoff値以下を満たす症例を膵萎縮所見ありと定義した場合,膵萎縮所見ありの腸型予測能は感度50%,特異度92%,正診率78%であった.最大主膵管径の腸型予測能はcutoff値6mmで感度83%,特異度64%,正診率71%だった.【結語】術前画像所見で主膵管径と膵実質の萎縮は腸型IPMNの予測指標として有用であった.特に膵実質の萎縮は腸型IPMNに特異的な所見であり高い臨床応用価値が示唆された.
索引用語