セッション情報 口演

膵 IPMN 3

タイトル O-271:

浸潤部の組織型からみたIPMN由来浸潤癌の予後と補助化学療法の適応

演者 畠 達夫(東北大学肝胆膵外科)
共同演者 岡田 恭穂(東北大学肝胆膵外科), 坂田 直昭(東北大学肝胆膵外科), 青木 豪(東北大学肝胆膵外科), 川口 桂(東北大学肝胆膵外科), 益田 邦洋(東北大学肝胆膵外科), 薮内 伸一(東北大学肝胆膵外科), 深瀬 耕二(東北大学肝胆膵外科), 水間 正道(東北大学肝胆膵外科), 中川 圭(東北大学統合がん治療外科), 林 洋毅(東北大学肝胆膵外科), 森川 孝則(東北大学肝胆膵外科), 吉田 寛(東北大学肝胆膵外科), 元井 冬彦(東北大学肝胆膵外科), 内藤 剛(東北大学肝胆膵外科), 片寄 友(東北大学統合がん治療外科), 江川 新一(東北大学災害医療国際協力学), 海野 倫明(東北大学消化器外科)
抄録 【背景】IPMN由来浸潤癌では浸潤部の組織型が管状線癌(tub)か粘液癌(muc)かで予後が異なるが,予後因子と補助化学療法の適応については十分な検討がなされていない.【目的】IPMN由来浸潤癌の予後因子と補助化学療法の適応を明らかにする.【対象と方法】2000年から2013年5月まで当科で切除したIPMN由来浸潤癌25例中,残膵全摘2例と予後追跡不能な1例を除外した22例を対象とした.浸潤部の組織型からtubとmucに分類し,補助化学療法施行の有無,予後について検討した.【結果】男性12例,女性10例,年齢中央値は69(52-82)歳であった.主膵管型3例,分枝型19例で,浸潤部の組織型はtub15例,muc7例であった.組織サブタイプは胃型9例,腸型10例,胆膵型2例,不詳1例であった.単変量解析ではリンパ節転移陽性例(p=0.008),tub例(p=0.022)で有意に予後不良であった.全22例の5年生存率は59.7%で,ほぼ同時期に切除された上皮内癌よりも有意に予後不良で(p=0.009),通常型膵癌よりも有意に予後良好であった(p=0.004).muc7例は全例無再発生存中である.tub15例の5年生存率は40.3%で,通常型膵癌に比べて予後良好な傾向であるが有意差は認めなかった(p=0.100).補助化学療法は22例中10例(tub5例,muc5例)に施行され,リンパ節転移陽性例(p=0.019),UICC StageII以上の症例(p=0.035)に多く施行されていた.tub15例の検討では補助療法の有無で明らかな生存期間の差を認めなかった(p=0.678).【結語】少数例での後方視的解析であるが,IPMN由来管状腺癌において補助化学療法の施行で有意な予後延長は認めなかった.しかしその予後は依然不良であり,通常型膵癌に準じた補助化学療法が必要であろう.
索引用語