セッション情報 口演

膵 IPMN 3

タイトル O-273:

手術例から観たIPMN由来浸潤癌の予後予測因子の検討

演者 竹中 完(神戸大学消化器内科)
共同演者 塩見 英之(神戸大学消化器内科), 増田 充弘(神戸大学消化器内科), 有坂 好史(神戸大学消化器内科), 久津見 弘(神戸大学消化器内科), 東 健(神戸大学消化器内科), 松本 逸平(神戸大学肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学肝胆膵外科), 原 重雄(神戸大学病理診断科), 伊藤 智雄(神戸大学病理診断科)
抄録 [背景・目的]IPMN由来浸潤癌は通常型膵癌と比べ比較的予後が良好である事が報告されているが,その予後に関わる因子に関しては明らかでない.今回我々はIPMN手術例の予後を調査し予後予測因子の検討を行った.[対象]2001年4月から2012年10月までに旧guidelineに則って当院で手術が行われたIPMN症例101例(現guidelineに則り主膵管型/混合型/分枝型:16/45/40例)を対象とした.分枝型に合併した通常型膵癌症例は対象から除外した.[結果]全症例の手術後の平均観察期間は5.2年(1-12年)であり,現病死例の手術時からの平均生存期間は2.5年(0.9-4年)であった.悪性の比率(High grade dysplasia+IPMN由来浸潤癌)は53%(53/101)であり,IPMN由来浸潤癌は29%(29/101)であった.IPMN由来浸潤癌の局所進展度の内訳(T1/T2/T3/T4)は6/5/17/1であった.手術後に現病死したものは10例(T1/T2/T3:1/1/8)であり,主膵管型2例,混合型4例,分枝型4例であった.主な死因の内訳は残膵再発2例,腹膜播種5例,肺転移2例,肝臓転移1例であった.予後予測因子の解析では膵後方組織への浸潤(RP)が有意な予測因子(P=0.05)であり,年齢,性別,型分類,嚢胞径,結節高,主膵管径,血清CEA値,血清CA19-9値,その他の局所進展度因子(CH,DU,S,PV,A,PL,OO)に有意な差を認めなかった.特にT3症例に限ると現病死した症例の75%(6/8)にRPを認め,部位別の検討では頭部病変にRPが多い傾向が認められた.[考察・結語]現病死の原因として腹膜播種が多く認められることからもIPMN由来浸潤癌の予後にはRPの有無が大きく関与している可能性がある.手術標本にてRPが確認された症例は特に慎重な経過観察が必要な群と考える.ただし術前にRPを画像で指摘することは難しく,解剖学的見解から病変の局在の要素が重要と考えられ,IPMNの手術非適応症例はその形態だけでなく局在も念頭においたフォローの設定を行う必要性が示唆された.
索引用語