セッション情報 口演

膵 IPMN 3

タイトル O-274:

IPMN手術症例における術後経過と他臓器併存腫瘍について

演者 織田 典明(富山県立中央病院内科)
共同演者 松田 耕一郎(富山県立中央病院内科), 原 泰将(富山県立中央病院内科), 在原 文教(富山県立中央病院内科), 堀田 洋介(富山県立中央病院内科), 松田 充(富山県立中央病院内科), 酒井 明人(富山県立中央病院内科), 石澤 伸(富山県立中央病院病理診断科), 清水 康一(富山県立中央病院外科), 野田 八嗣(富山県立中央病院内科)
抄録 【目的】IPMN手術症例における術後経過と他臓器併存腫瘍について検討した.【対象と方法】2007年8月から2013年3月までに当院で切除したIPMN30例を対象とした.男女比21:9,平均年齢71.3歳,主膵管型:分枝型:混合型=2:11:17.平均術前観察期間820日(32-4385),平均術後観察期間1016日(38-1957).病理結果別の術後経過および他臓器併存腫瘍の有無について検討した.長期経過観察後に切除した14例について,新ガイドラインに基づき癌化例の特徴を検討した.【成績】病理は浸潤癌3例,非浸潤癌7例,腺腫20例.浸潤癌3例では平均318日で全例術後再発し,うち1例が死亡,1例が終末期である.一方,非浸潤癌,腺腫の27例では,全例再発なく生存中である.長期経過観察した14例の検討では,初回診断時のworrisome feature(WF)を満たす項目数(0-2)が多いほど有意に癌化した(p=0.03).初回診断時のWF項目数0の4例および嚢胞径30mm以上のみ満たす3例はすべて腺腫であった.4例に癌を合併し,3例が非浸潤癌であり再発なく生存中であるが,うち1例は初回診断時WF2項目を満たしていたが,通院中断し約2年6ヶ月後に主膵管拡張の増悪と造影腫瘤を認める浸潤癌で発見され術後9ヶ月で死亡した症例を経験した.他臓器併存腫瘍は,同時性は腎細胞癌,早期胃癌,早期大腸癌,十二指腸乳頭部癌,膵NETG2,直腸GISTの各1例ずつであり,既往症は肺癌,前立腺癌,胃癌,副腎腫瘍,早期大腸癌,胃GIST,顎骨骨肉腫,軟部組織腫瘍の各1例ずつであった.一方,術後経過観察中に生じた併存腫瘍は肺癌,盲腸癌,声帯癌,皮膚癌の各1例ずつであり,30例中13例(43.3%)に併存腫瘍を認めた.【結論】IPMNは,悪性化に関してはWF項目数のみと有意に相関し,腺腫や非浸潤癌までの段階で切除できれば予後良好であるが,高率に合併する他臓器併存腫瘍にも注意すべきである.
索引用語