セッション情報 口演

AIH・PBC

タイトル O-285:

当院におけるAIH,PBC-AIHオーバーラップ症候群に対するUDCA単独治療についての検討

演者 楊 和典(兵庫医科大学内科肝胆膵科)
共同演者 会澤 信弘(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 石井 紀子(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 由利 幸久(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 青木 智子(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 石井 昭生(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 高嶋 智之(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 坂井 良行(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 池田 直人(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 岩田 恵典(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 田中 弘教(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 榎本 平之(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 齋藤 正紀(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 飯島 尋子(兵庫医科大学内科肝胆膵科), 西口 修平(兵庫医科大学内科肝胆膵科)
抄録 【目的】自己免疫性肝炎(AIH)はコルチコステロイド(CS)による治療が標準的な治療であり,治療効果は概ね良好である.だがその半面,ステロイドの長期投与による感染症,骨粗鬆症などの副作用も心配される.そのため治療を行う過程でステロイド治療が躊躇された症例ではウルソデオキシコール酸(UDCA)にて治療を行うことが多い.今回我々はAIH,原発性胆汁性肝硬変(PBC)とそのオーバーラップ症候群と診断された症例対するUDCAの反応性について検討した【対象】2009年以降に当科で肝組織生検,生化学検査にてAIHもしくはオーバーラップ症候群と診断された症例は約100症例である.その中でもコンセンサスが得られない,基礎疾患などの背景疾患によりUDCA治療を選択した症例は44症例であった.今回は44症例のうち,初回治療より12ヵ月以上経過の後,再度肝組織が得られた13症例を対象とした.【方法】対象を2回目の肝生検時評価の後治療方針に変更がなかったものをコントロール良好群(4例),ステロイドなど治療方針に変更があったものをコントロール不良群(9例)とし組織学的病期,AIHスコア,T-bil値,ALT値,ALP値,γGTP,IgG値,ANA値,患者背景について検討した.【結果】両群間で関連性が疑われたのは発症時点での肝組織の炎症が軽微(F1,A1以下)であること,UDCA開始後速やかに肝機能(ALT,ALP,γGTP全て)が正常値以下に改善した場合であった.ANA,IgGなど,今回評価を行った項目単独では,予後予測因子とはなりえなかった.【結論】PBC,AIHからの疾患独立性,予後,治療選択についてさらなる検討が必要であるが,今回の検討からはAIH,PBC-AIHオーバーラップ症候群の発症,診断時点で総合的に活動性が軽微と判断された症例については初回治療としてUDCAを選択できる可能性があると考えられた.
索引用語