セッション情報 | 口演AIH・PBC |
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タイトル | O-286:自己免疫性肝炎における抗PCK2抗体測定の意義 |
演者 | 菅野 有紀子(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科) |
共同演者 | 今泉 博道(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 林 学(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 岡井 研(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 阿部 和道(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 高橋 敦史(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 渡辺 浩志(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 大平 弘正(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科) |
抄録 | 【目的】本邦における自己免疫性肝炎(AIH)の多くは抗核抗体,抗平滑筋抗体などの自己抗体が検出されるが,これら自己抗体は疾患特異性がなくしばしば診断に苦慮する.これまで我々は培養正常ヒト肝細胞の非核成分を用いて,AIH患者血清と特異的に反応する抗原蛋白がphosphoenolpyruvate carboxykinase2(PCK2)であることを同定した.そこで,AIH患者血清中の抗PCK2抗体の疾患特異性,病態との関連を検討し,その臨床的意義について明らかにすることを目的とした. 【方法】対象は当院および関連病院で診断されたAIH42例,原発性胆汁性肝硬変(PBC)48例,非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)41例,C型慢性肝炎(CHC)20例,薬物性肝障害(DILI)10例,SLE16例,健常人30例.リコンビナントPCK2蛋白によるELISA法で抗PCK2抗体を測定した.AIH症例を抗PCK2抗体陽性群と陰性群それぞれの検査成績,肝組織の線維化,重症度について比較検討した. 【成績】各疾患におけるELISAの抗体価はAIH 28.3±29.1AU,PBC 13.9±18.7(p=0.004),NASH 5.4±17.8(p<0.0001),CHC 9.5±11.9(p=0.0043),DILI 7.7±6.0(p=0.0179),SLE 13.3±24.6(p=0.0064),健常人8.3±7.3(p=0.0006)とAIHで有意に高値だった.抗PCK2抗体陽性はAIH21例(50.0%),PBC7例(14.6%),NASH2例(12.5%),CHC2例(10.0%),DILI0例(0%),SLE2例(12.5%),健常人1例(3.3%)でAIH診断の感度50%,特異度91.5%,正診率83.1%だった.AIH例の抗PCK2抗体の有無および抗体価と臨床検査成績,肝線維化の程度,重症度に統計学的有意差は認めなかった. 【結語】抗PCK2抗体はAIH患者で陽性率および特異度が高くAIHの疾患標識マーカーとなり得る可能性が示唆された. |
索引用語 |