セッション情報 口演

C型肝炎1

タイトル O-288:

C型慢性肝疾患における高血圧患者の臨床的特徴に関する検討

演者 田中 克弥(市立吹田市民病院内科)
共同演者 永瀬 寿彦(市立吹田市民病院内科), 若松 周司(市立吹田市民病院内科), 湯口 清徳(市立吹田市民病院内科), 笹川 廣和(市立吹田市民病院内科), 澤村 真理子(市立吹田市民病院内科), 谷本 考史(市立吹田市民病院内科), 黒島 俊夫(市立吹田市民病院内科)
抄録 (目的)C型肝炎ウイルス感染者では糖尿病の合併頻度が高く,一方,糖尿病は肝発癌危険因子である.我々は,C型慢性肝疾患で肝硬変,肝細胞癌に関与する生活習慣病は糖尿病以外に高血圧が有意な寄与因子であることを報告した(肝臓学会総会2013年)が,高血圧と肝発癌との関係についての検討は多くない.そこで,今回,C型慢性肝疾患の高血圧患者における生化学検査などの患者背景を非高血圧患者と比較検討した.(対象)対象は当院に通院中のC型慢性肝疾患228例(男性/女性=130/98)で,慢性肝炎186例,肝硬変42例,肝細胞癌38例である.(方法)検討項目は年齢,BMI,AST,ALT,γGTP,フェリチン,空腹時血糖,HbA1c,血中インスリン,HOMA-IR,総コレステロール,LDLコレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪と脂肪肝,飲酒歴・喫煙歴の有無である.(結果)高血圧患者では非高血圧患者に比し,有意に高齢で(69.4±10.0:59.0±13.1,p<0.0001),BMIが高値(23.2±3.7:21.6±3.2,p=0.0012)であった.AST(54.1±33.3:55.9±42.0,p=0.7178),ALT(59.0±50.5:69.5±62.6,p=0.1672),γGTP(69.2±112.0:51.4±53.4,p=0.1653),フェリチン(192.3±209.5:239.2±199.1,p=0.3547),空腹時血糖(107.5±30.6:116.0±69.7,p=0.2178),HbA1c(5.39±0.82:5.65±1.80,p=0.1649),脂肪肝の有無(p=0.6814)には有意差はなかったが,血中インスリン(7.92±5.35:5.54±5.24,p=0.0063),HOMA-IR(2.07±1.57:1.47±1.52,p=0.0167)は有意に高かった.脂質ではLDLコレステロールのみ有意に低かった(93.9±27.3:103.0±29.4,p=0.0377).飲酒歴には差はない(p=0.4688)が,喫煙歴は高血圧患者で有意に少なかった(p=0.0411).(結論)C型慢性肝疾患の高血圧患者での肝発癌には肝炎の活動性,酸化ストレス,脂肪肝は関係なく,BMI高値,インスリン抵抗性,インスリン高値が関与している可能性がある.
索引用語