セッション情報 口演

C型肝炎1

タイトル O-289:

C型慢性肝疾患患者における血清testosterone値に相関する因子の解析

演者 樋本 尚志(香川大学総合診療科)
共同演者 野村 貴子(香川大学消化器・神経内科), 谷 丈二(香川大学消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大学消化器・神経内科), 森下 朝洋(香川大学消化器・神経内科), 米山 弘人(香川大学消化器・神経内科), 犬飼 道雄(香川大学総合診療科), 合田 文則(香川大学総合診療科), 正木 勉(香川大学消化器・神経内科)
抄録 【目的】男性のC型慢性肝疾患(CLD-C)患者における血清testosterone値は肝線維化と相関するとの報告がある.今回,CLD-C患者における血清testosterone値と相関する因子の解析を行った.【方法】対象はCLD-C患者52例(男性29例:57.9+8.2歳,女性23例:60.8+8.1歳)で,血清testosterone値と相関する因子として,肝線維化,肝脂肪化,インスリン抵抗性,肥満および血清T-Cho値を検討した.肝線維化は新犬山分類を用いてF1/F2とF3/F4の2群に,肝脂肪化はBruntらの分類によってgrade 0~grade 2の3群にそれぞれ分類した.肥満およびインスリン抵抗性は,BMIおよびHOMA-IR値をそれぞれ算出して評価し,HOMA-IR値2.0以上をインスリン抵抗性ありとした.【成績】肝線維化とtestosteroneとの関連をみると,男性ではF3/F4群における血清testosterone値はF1/F2群と比較して高い傾向にあり(8.00±3.88 vs 6.30±1.87 ng/ml),女性でも同様の傾向であった(0.25±0.19 vs 0.17±0.14 ng/ml).次に,肝脂肪化と血清testosterone値との関連をみると,男性においては肝脂肪化が進行するに従って血清testosterone値が低下していた(grade 0:8.00±3.46 ng/ml,grade 1:6.60±2.76 ng/ml,grade 2:5.96±2.60 ng/ml).また,男性患者におけるBMI値は血清testosterone値と緩やかな負の相関を認めた(r=-0.375,p=0.0493).一方,HOMA-IR値2以上の女性は,2未満の群と比較して血清testosterone値が高い傾向にあった(0.29±0.20 vs 0.15±0.12 ng/ml).しかしながら,血清T-Cho値とは男女ともに有意な相関を認めなかった.【結論】CLD-C患者における血清testosterone値は,肝線維化の進展に並行して上昇していた.また,男性においては肝脂肪化および肥満が高度になると血清testosterone値が低下する傾向に,女性はインスリン抵抗性が出現すると血清testosterone値が上昇する傾向にあった.
索引用語