セッション情報 口演

C型肝炎2

タイトル O-293:

L-カルニチンのC型肝炎ウイルス増殖抑制効果に関する研究

演者 佃 曜子(北海道大学消化器内科学講座)
共同演者 須田 剛生(北海道大学消化器内科学講座), 佐藤 史幸(北海道大学消化器内科学講座), 常松 聖司(北海道大学消化器内科学講座), 寺下 勝巳(北海道大学消化器内科学講座), 中井 正人(北海道大学消化器内科学講座), 堀本 啓大(北海道大学消化器内科学講座), 荘 拓也(北海道大学消化器内科学講座), 夏井坂 光輝(北海道大学消化器内科学講座), 中馬 誠(北海道大学消化器内科学講座), 坂本 直哉(北海道大学消化器内科学講座)
抄録 【背景・目的】C型肝炎ウイルス(HCV)のライフサイクルと肝細胞内脂肪酸代謝は深く関与し,肝脂肪化はウイルス粒子形成との関連が報告されている.その為,肝脂肪化抑制は治療のターゲットとなる事が予想される.そこで我々はβ酸化に強く関与すると報告されているL-carnitine(カルニチン)のHCV増殖抑制効果,HCV感染により惹起される酸化ストレスに対する抑制効果について検討した.【方法】HCVレプリコン/HCV感染培養系にカルニチン投与を行いカルニチンのウイルス増殖抑制効果と肝脂肪化抑制効果,ならびに抗酸化ストレス効果について検討を行った.【結果】はじめに,カルニチン投与によるHCVレプリコン細胞におけるHCV増殖抑制効果の検討を行ったが,HCVレプリコン細胞におけるウイルス増殖抑制効果は認めなかった.そこで,HCV感染培養系を用いた検討を行った.JFH1株,J6/JFH1キメラウイルス感染細胞にカルニチンを投与し培養上清中のウイルス量を測定したところ,いずれの感染細胞においてもカルニチン濃度依存性にウイルス量の減少が確認された.次に,カルニチン投与によるHCV感染細胞の脂肪化抑制効果の検討を行った.HCV感染細胞にオイルレッドO染色を行いその抽出液の吸光度を測定し脂肪化の定量を行った.培養細胞は,HCV感染にて有意に細胞内脂肪量の増加を認め,更にカルニチン投与にて有意に細胞内脂肪滴が減少することが確認された.最後にHCV感染による酸化ストレスへのカルニチン投与が及ぼす影響を検討した.HCV感染細胞に対しカルニチンを投与し,GSH/GSSGアッセイを行い酸化ストレスの定量を行った.培養細胞はHCV感染により細胞内酸化ストレスは有意に上昇したが,カルニチン投与により有意に酸化ストレスの抑制が確認された.【結論】カルニチンはHCV感染培養系においてHCV増殖抑制効果を認めるとともに細胞内の脂肪量の減少,酸化ストレスの抑制効果を認めた.
索引用語