セッション情報 口演

C型肝炎2

タイトル O-296:

Ribavirinの制御性T細胞活性調節作用とC型慢性肝炎治療における意義

演者 中塚 雄久(日本医科大学武蔵小杉病院消化器内科)
共同演者 厚川 正則(日本医科大学消化器内科学), 張本 滉智(日本医科大学消化器内科学), 中川 愛(日本医科大学消化器内科学), 安良岡 高志(日本医科大学消化器内科学), 橋本 知実(日本医科大学消化器内科学), 糸川 典夫(日本医科大学消化器内科学), 枡 卓史(日本医科大学武蔵小杉病院消化器内科), 福田 健(日本医科大学消化器内科学), 松下 洋子(日本医科大学消化器内科学), 城所 秀子(日本医科大学武蔵小杉病院消化器内科), 金子 恵子(日本医科大学消化器内科学), 川本 智章(日本医科大学消化器内科学), 高橋 秀実(日本医科大学微生物学免疫学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学)
抄録 我々はRibavirin(RBV)がヒト制御性T細胞(Treg)のT-helper細胞(Th)に対する抑制活性を阻害し,Th1/2細胞バランスをTh1優位に導くことを見出し報告してきた.今回はRBVのTregに対する作用について更なる詳細を検討した結果を報告する.【方法】健常者末梢血単核球よりMagnetbeadsおよびFACSortを用いて分離したCD4+CD25-T細胞(Th)に対するCD4+CD25+CD127-T細胞(Treg)の制御活性にRBVが及ぼす影響についてthymidine incorporation assay,ELISA,FACSにより解析した.【結果】1)RBV添加によりTreg生細胞数減少,細胞内FOXP3,細胞表面ICOS発現減少を認めた.2)RBVはTh,Tregの増殖に影響せず,Th増殖に対するTregの抑制活性を濃度依存性に解除した.3)Tregとの混合培養で増強するTh内FOXP3発現は,RBV前処理したTregと混合培養したThで著明に低下した.またT細胞成熟の指標であるCD45RO陽性T細胞比率はRBVの影響を受けなかった.4)RBV処理Tregとの混合培養によりTh細胞から誘導されたAdaptive Treg(Tradapt)は,無処理Tregとの混合培養により誘導されたTradaptおよび新規に分離したTregと同様にTh増殖を抑制した.5)Transwell assay,ELISAの結果の結果RBVはTregのIL10を介する抑制活性を阻害していることが示された.【考察】RBVはFOXP3発現抑制を介してnatural occurring Treg活性,Tr1におけるIL10産生を抑制し,ThからFOXP3陽性Tradaptへの転換を阻害するが,この作用は一過性であった.慢性C型肝炎治療においてRBVはTreg活性抑制を介しTh1細胞活性を維持し,HCV感染細胞破壊を促進すると考えられるが,こうした細胞性免疫応答賦活を維持するためには治療経過中の血中濃度を維持することが必要であり,RBV adherenceとSVRの関連を支持する結果であった.
索引用語