セッション情報 口演

巨大総胆管結石に対するEPLBD

タイトル O-303:

高齢者総胆管結石に対するEPLBDの検討

演者 後藤 大輔(川崎医科大学総合内科学2)
共同演者 河本 博文(川崎医科大学総合内科学2)
抄録 【背景・目的】高齢者の総胆管結石症例では,生理機能低下や心・脳血管障害等の合併症に伴うリスクを考慮した治療が必要である.今回,当施設における75歳以上の後期高齢者の総胆管結石に対するEPLBDの有用性,安全性を検討した.【対象・方法】2011年4月から2013年8月までの総胆管結石截石例は217例で,EPLBD施行例は58例(27%),うち75歳以上の47例(47/58:81%,男性20例/女性27例)の背景疾患,治療効果,偶発症,予後について75歳以下の非EPLBD截石症例の73例と比較検討した.EPLBDは乳頭をEST後,結石径,胆管径に応じて10~20mm径の胆管拡張用バルーンを用い2気圧以下でwaist消失まで拡張し,消失後は胆管径に応じて緩徐に拡張した.抗血小板薬,抗凝固薬内服例は休薬,またはヘパリン化併用後に治療を行った.【成績】合併症は42例(89%)に認め,内訳は心疾患28例(67%),脳血管障害14例(33%),認知症8例(19%)であった.また19例(40%)で抗血小板薬,抗凝固薬内服していたが,休薬に伴う心,脳血管合併症の新規発症やヘパリン化に伴う出血性合併症はなかった.また来院時中等症以上の胆管炎を合併し,胆管ドレナージを先行した症例は7例(15%)あった.EPLBD施行例の平均胆管径は16.8mm(11~29mm),平均最大結石径は14.2mm(10~40mm),平均結石数は3.4個(1~14個),3個以上の結石多発例は24例(51%)あった.手技時間は平均31.8分(10~70分)で,一期的に完全截石しえたのは42例(89%),残り5例は後日再治療で全例完全截石した.在院日数中央値は9日(4~21日)で死亡退院はなかった.早期偶発症は膵炎(軽症)2例(4%),後出血1例(2%)を認めたが,75歳以下非EPLBD群の膵炎4例(5%),後出血1例(2%)と比較し有意差はなかった.穿孔や胆管炎,誤嚥性肺炎等の合併症はなかった.後期偶発症として結石再発を1例(2%)に認めた.【結論】後期高齢者は截石困難例が多いが,EPLBDは有効かつ比較的短時間で安全に施行可能な治療法である.現時点で結石再発は低頻度だが今後更なる長期成績の検討が必要と考える.
索引用語