セッション情報 | 口演胆道疾患 |
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タイトル | O-308:総胆管結石と悪性胆道狭窄を鑑別するためのスコア式の構築 |
演者 | 柴田 道彦(産業医科大学第3内科) |
共同演者 | 千手 倫夫(産業医科大学第3内科), 鬼塚 良(産業医科大学第3内科), 松橋 亨(産業医科大学第3内科), 日浦 政明(産業医科大学第3内科), 渡邊 龍之(産業医科大学第3内科), 阿部 慎太郎(産業医科大学第3内科), 原田 大(産業医科大学第3内科) |
抄録 | 【目的】総胆管結石(結石)と悪性胆道狭窄(癌)は共に急性胆管炎,閉塞性黄疸の原因となり,初期診療時に超音波検査等で鑑別することは難しい.しかし,初期診療の段階でこれらを区別することは重要であり,一般検査項目から鑑別するためのスコア式を構築する.【対象】2005から2012年まで当院を受診した,有症状で総胆管に病変を有した534人のうち,肝疾患や慢性腎不全等の基礎疾患のある者,前治療歴のある者等を除外した344人(結石186人,癌158人)を対象とした.【方法】344人を230人と114人に分け,前者にてスコア式の構築,後者にて構築されたスコア式の検証を行った.スコア式の構築に用いた因子は,vital sign,SIRS,血液検査(肝機能,腎機能,アミラーゼ,CRP,血算,凝固,CA19-9)である.2群間の比較はunpaired t-test,X2検定で,スコア式の構築はstepwise解析で行なった.統計ソフトはSPSS ver. 21.0を用い,有意水準は両側5%未満とした.【成績】全体の平均年齢は72.2歳で,男性が57.6%であった.またスコア式の構築群と検証群で全因子に有意差を認めなかった.スコア式の構築:stepwise解析の結果,D-bil,AST,ALT,ALP,γGTP,Cre,CRP,WBC,Hb,ALP/ALTが有意な因子として描出された.これらの因子の中から,スコア式=3.1(D-bil)+1.8(ALP/ALT)-2.2(WBC)+0.01(ALP)-1.84(CRP)が導き出され,そのROC曲線下面積は0.914であった.次に正診率を90%に設定し,low cut off値(LCO)6,high cut off(HCO)値40を設定したところ,LCO未満となった106人中96人(90.5%)が結石,HCO以上の43人中39人(90.7%)が癌であり,構築群230人のうち149人が90%の精度で鑑別可能であった.スコア式の検証:検証群においてもスコア式のROC曲線下面積は0.932で,高い再現性が示された.【結論】本スコア式は,初期診療において一般血液検査により結石と癌を鑑別し得る簡便な方法であると考えられた. |
索引用語 |