セッション情報 口演

胆道疾患

タイトル O-312:

全国多施設横断調査からみた肝内結石症診療の現状

演者 鈴木 裕(杏林大学外科)
共同演者 森 俊幸(杏林大学外科), 横山 政明(杏林大学外科), 中里 徹矢(杏林大学外科), 松木 亮太(杏林大学外科), 阿部 展次(杏林大学外科), 正木 忠彦(杏林大学外科), 中沼 安二(金沢大学医学系研究科形態機能病理学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 杉山 政則(杏林大学外科)
抄録 [背景]肝内結石症は良性疾患でありながら完治が難しく再発を繰り返すことが多い.そのため,過去に6回の全国調査が行われている.今回,前回調査(2006年)より6年が過ぎ,肝内結石症診療の現状と成績の解析を目的に新規の多施設全国調査を施行.[方法]2011年1月-12月に診療を行った肝内結石症例が対象.2639施設に調査票を送付,回答を得た94施設/299例を登録.臨床像,過去の全国調査と比較,病像の変遷を解析.検討項目は,患者背景,結石占拠部位(IE分類,LR分類),胆管狭窄/拡張,結石種類,合併症,肝内胆管癌の有無,治療内容と成績,治療後の転帰.[結果]平均年齢は64歳.結石遺残例は22%で,遺残を除く再発例は6%.肝内胆管癌合併は1.3%.占拠部位別では肝内型が肝内外型よりも多く(60%vs28%),左右別では左葉が33%,右葉34%,両葉19%.過去調査と比較すると,さらに肝内型が増加.結石成分別ではビリルビン結石が59%と最多で,コレステロール結石は7%.75%は日常生活の支障なく,62%は社会復帰を果たしていた.治療では,非手術的治療が増加し(前回48%→今回67%),手術的治療は減少(46%→29%).手術的治療では肝切除術が最多(14%).非手術的治療では経乳頭的内視鏡治療の増加が著明(4%→22%)だが,肝切除術に比べ結石遺残(7%vs52%),結石再発(0%vs24%)が多く成績不良.胆道疾患の既往がない非再建群と胆道再建の既往がある再建群に分けて検討すると,再建群は非再建群に比し治療例が多かった(76%vs43%).また,治療内容は非再建群で肝切除術(20%),再建群ではPTCSL(27%)とERC(27%)が最も施行されたが,両群いずれもERCは肝切除術に比し結石遺残や再発が多い結果.乳頭処置(EST/EPBD/処置なし)と結石再発・胆道癌発生とは相関はなかった.[結論]肝切除術は短期成績も良好であり,肝内結石症の根治治療として推奨される.一方,ERCPは低侵襲であるが,短期成績不良であり厳重なフォローが必要.
索引用語