セッション情報 口演

急性胆嚢炎の治療

タイトル O-314:

当院における胆石を伴わない急性壊死性胆嚢炎の検討

演者 池本 珠莉(JA尾道総合病院消化器内科)
共同演者 花田 敬士(JA尾道総合病院消化器内科), 寺岡 雄吏(JA尾道総合病院消化器内科), 天野 美緒(JA尾道総合病院消化器内科), 今川 宏樹(JA尾道総合病院消化器内科), 新里 雅人(JA尾道総合病院消化器内科), 片村 嘉男(JA尾道総合病院消化器内科), 福本 晃(JA尾道総合病院消化器内科), 飯星 知博(JA尾道総合病院消化器内科), 小野川 靖二(JA尾道総合病院消化器内科), 平野 巨通(JA尾道総合病院消化器内科), 天野 始(JA尾道総合病院消化器内科), 日野 文明(JA尾道総合病院消化器内科), 福田 敏勝(同外科), 中原 雅浩(同外科), 米原 修治(同病理研究検査科)
抄録 【目的】急性壊死性胆嚢炎の原因は胆石の胆嚢管への嵌頓が多く,無石性の報告は少ない.今般,当院における無石性の急性壊死性胆嚢炎例検討をしたので報告する.【対象】平成25年1月から6月に経験した急性胆嚢炎12例のうち胆嚢摘出術の結果,胆石を認めず病理組織学的に壊死性胆嚢炎と確定診断された3例を対象とした.全例男性であり,年齢は64歳,71歳,100歳であった.【結果】主訴は全例腹痛,Murphy徴候も全例で陽性.初診時にショックバイタルであった症例はなく,発熱は2例で,いずれも38℃未満であった.WBCは全例で上昇し,うち2例は18000/mm3以上,CRPは13.94~24.13mg/dLと全例高値であった.PLTは全例で10万/mm3以上であった.画像診断は,2例に単純CTを,1例に造影CTを施行し,単純CTでは1例で胆嚢壁の連続性は不明確であったが,1例は胆嚢の穿孔が疑われた.造影CTでは胆嚢壁の連続性の途絶は指摘できず,intraluminal flap像は認めなかった.急性胆管炎・胆嚢炎ガイドライン2013による重症度判定では,2例が中等症,1例は軽症と判定された.画像で穿孔が疑われた1例は開腹で,2例は腹腔鏡下で胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的所見では,2例は急性壊死性胆嚢炎に矛盾せず,1例は15×10mmの胆嚢管癌による胆嚢管の閉塞で胆嚢が壊死に陥り一部が穿孔していた.胆嚢管癌の存在は術前の画像診断では指摘困難であった.【考察および結論】急性壊死性胆嚢炎は現行のガイドラインでは中等症に位置づけられているが,緊急入院時の画像診断では胆嚢壁の連続性の評価が困難な場合があり,壊死の存在を過小評価する可能性がある.また,無石性胆嚢炎の場合,常に胆嚢管癌の潜在を念頭に置くべきである.無石性の急性壊疽性胆嚢炎の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.
索引用語