セッション情報 口演

急性胆嚢炎の治療

タイトル O-315:

壊疽性胆嚢炎における外科治療の可能性

演者 飯田 辰美(JA岐阜厚生連西美濃厚生病院外科)
共同演者 二村 直樹(JA岐阜厚生連西美濃厚生病院外科), 岡田 将直(JA岐阜厚生連西美濃厚生病院外科), 荒川 信一郎(JA岐阜厚生連西美濃厚生病院外科)
抄録 【はじめに】「急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン」が示されて,炎症の高度な胆嚢炎症例でも積極的に早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下ラパコレ)が試みられている.今回最も炎症が進行した壊疽性胆嚢炎症例で行った術式とその患者背景について検討を行った.【対象】当科において手術を行い,病理学的に診断された壊疽性胆嚢炎症例10例を後視的に検討した.【結果】女性7例男性3例,45歳から90歳,平均77歳であった.全例において脳梗塞,高血圧,糖尿病,不整脈,間接リューウマチなど循環障害を生じやすい術前合併症が認められた.術前PTBDを施行されている症例もあるため,症状発現から手術までの期間は1日から5週間と,相違が大きい.結石合併例は8例で,無石胆嚢炎は2例であった.手術は開腹胆嚢摘出術が初期の6例に行われており,次いで腹腔鏡手術で開始し開腹に変更した症例が1例であった.最近の3例は腹腔鏡下胆摘術で完遂されている.【考案】壊疽性胆嚢炎は急性胆嚢炎のうち,胆嚢壁に壊疽性変化をきたすもので,重症な経過をたどることが多い.本症は胆嚢の穿孔をきたしやすいこと,高齢者に多いことなどが特徴として挙げられる.胆石の嵌頓以外にも,糖尿病や高血圧,虚血性心疾患,脳血管障害などの動脈硬化性疾患の合併が高率であることから,胆嚢壁の虚血性変化が重要な因子とされる.壊疽性胆嚢炎が疑われれば緊急手術が考慮される場合が多いが,ハイリスクの患者ではドレナージ術が初期治療として選択されることも多い.従来,開腹術を選択していたが,腹腔鏡技術の進歩により腹腔鏡下胆嚢摘出術にて手術を完遂できる症例が増加した.
索引用語