セッション情報 口演

急性胆嚢炎の治療

タイトル O-316:

急性胆嚢炎に対するENGBD手技の成功に関わる因子の検討

演者 川口 章吾(青森市民病院消化器内科)
共同演者 吉村 徹郎(青森市民病院消化器内科), 五十嵐 剛(青森市民病院消化器内科), 和田 豊人(青森市民病院消化器内科), 福田 眞作(弘前大学消化器血液内科学講座)
抄録 【背景と目的】急性胆嚢炎に対する内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ術(以下ENGBD)は有用な手技であるが,経皮的ドレナージに比べ手技が煩雑であり成功率が劣ることが問題である.手技の成功に関わる因子について検討することを目的とした.【対象と方法】2011年4月から2013年9月までの期間に当科で急性胆嚢炎と診断されENGBDを試みた37例を対象とした.37例を成功群,不成功群に分け,それぞれの群の平均年齢,重症度,CRP,総ビリルビン(T.Bil),胆嚢頚部結石・胆嚢管結石の有無,CT上胆嚢管の走行が確認できるか,カニュレーション後の胆管造影で胆嚢管まで描出されるかについて後ろ向きに検討した.【結果】37例中28例がENGBD成功例であった(手技成功率75.7%).9例は不成功に終わり経皮的ドレナージに移行した.不成功の理由は胆嚢管にガイドワイヤーがかからなかった症例が3例,ガイドワイヤーが胆嚢管を通過できなかった症例が4例,ガイドワイヤーは通過したもののチューブが留置できなかった症例が2例であった.平均年齢は成功群65歳,不成功群69歳であった.重症度は軽症/中等症/重症の順に,成功群10/17/1,不成功群3/6/0であり,それぞれの群に有意差は認められなかった.CRP(mg/dl)は成功群12.03,不成功群で12.42,T.Bil(mg/dl)は成功群1.454,不成功群1.723であった.頚部結石や胆嚢管結石を認めたのは成功群10例(35.7%),不成功群6例(66.7%)であった(p=0.103).CT上胆嚢管の走行が確認できたのは成功群27例(96.4%)に対し,不成功群6例(66.7%)であり,不成功群で有意に少なかった(p=0.0124).胆管造影で胆嚢管が描出されたのは成功群で16例(56.1%),不成功群で3例(33.3%)であった(p=0.213).【結論】胆嚢炎の重症度はENGBDの成功に関わる因子ではなかった.炎症が胆嚢管にまで波及し,CT上胆嚢管の走行が不明瞭となっている症例はENGBDの難易度が高いと考えられ,手技に長時間を要するようであれば経皮的ドレナージへ移行すべきと考えられた.
索引用語