セッション情報 口演

肝癌 ソラフェニブ

タイトル O-320:

高齢者切除不能肝細胞癌に対するソラフェニブ減量開始の検討

演者 塩谷 淳(滋賀医科大学消化器内科)
共同演者 西村 貴士(滋賀医科大学消化器内科), 西田 淳史(滋賀医科大学消化器内科), 稲富 理(滋賀医科大学消化器内科), 馬場 重樹(滋賀医科大学消化器内科), 佐々木 雅也(滋賀医科大学消化器内科), 藤山 佳秀(滋賀医科大学消化器内科), 安藤 朗(滋賀医科大学消化器内科)
抄録 【目的】75歳以上の進行肝癌の日本人高齢者では,ソラフェニブ800mgで投与開始した場合,76歳未満の患者と比べて副作用が多く,治療中止の割合が高いことが報告されている.そのため我々の施設では,75歳以上の高齢者に対しソラフェニブ200mgもしくは400mgに減量して開始することが多い.高齢者におけるソラフェニブ減量開始が副作用による中止率を下げられているのかどうか,減量投与の継続が生存期間の延長に寄与しているかについてretrospectiveに検討した.【方法・結果】2009年9月から2013年9月現在まで当院通院中の切除不能肝細胞癌のうち,ソラフェニブを400mgか200mgに減量して投与開始した22症例を検討した.75歳以上の高齢者は11例,75歳未満は11例あった.ソラフェニブ投与後,更なる減量あるいは中止が必要となるまでの期間は75歳未満の症例で中央値112日,75歳以上の症例では29日と有意差を認めた(p=0.03).減量投与症例のうち,10例において高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)によりソラフェニブ血中濃度を測定し,年齢,体表面積による血中濃度の差異について調べたが,有意差は認められず,高齢者で減量や中止が多くなる要因とはいえなかった.また,75歳以上の高齢者でソラフェニブ減量投与した患者のうち,ソラフェニブの投与がAEなどにより90日以内に中止された患者では,生存中央値101日であるのに対し,さらなる減量や中止後再開などの工夫により90日以上投与が可能であった患者での生存中央値は364日と有意に生存期間が延長していた(p=0.015).【結論】高齢者では初期投与量を減量して開始しても,副作用により更なる減量や中止を余儀なくされる可能性が高いが,副作用対策による投与継続期間を延ばすことがOSに寄与する可能性がある.
索引用語