セッション情報 口演

肝癌 ソラフェニブ

タイトル O-321:

肝細胞癌に対するソラフェニブ減量開始の有用性

演者 古本 洋平(東京都立墨東病院内科)
共同演者 石橋 史明(東京都立墨東病院内科), 上山 俊介(東京都立墨東病院内科), 外山 雄三(東京都立墨東病院内科), 小林 克誠(東京都立墨東病院内科), 間野 真也(東京都立墨東病院内科), 村山 巌一(東京都立墨東病院内科), 堀内 亮郎(東京都立墨東病院内視鏡科), 浅野 徹(東京都立墨東病院内科), 佐崎 なほ子(東京都立墨東病院内科), 忠願寺 義通(東京都立墨東病院内科), 藤木 和彦(東京都立墨東病院内科)
抄録 【目的】肝細胞癌に対するソラフェニブ投与では手足症候群(HFS)などの副作用が問題となることが多い.最近当院では400mg/日で開始し副作用を観察しながら漸増する方針としており,減量開始の有用性について検討した.【対象】2009年8月から2013年9月までに肝細胞癌に対してソラフェニブを投与開始した48例.平均年齢70.0歳,男/女 34/14,HBV/HCV/Alcohol/他2/30/9/8,Child-pugh(5/6/7/8)26/18/2/2,PS(0/1/2)32/14/2,Stage(II/III/IVA/IVB)15/14/6/13,AFP/PIVKA-II 33.6/130,前治療(肝切除/RFA/TACE/HAIC)9/7/4/2,ソラフェニブ単独(単独群)/TACE・HAIC併用(併用群)28/20,開始用量(800/400)31/17.【結果】減量を要する副作用はHFS,HFS+肝機能障害,Plt減少の順に多かった.単独群と併用群では副作用に差は見られなかったが,800mg群より400mg群で副作用による減量中止が少なかった.単独群の治療効果はRR 7%,DCR 32%であった.StageIII以上・生存期間1年以上/未満で比べると内服期間の平均値は6.3/3.1か月,総投与量の平均値は145200/58967mgと内服期間が長く,投与量が多い方が生存期間が延長する傾向が見られた.400mg開始17例中8例で増量を行ったが,うち3例で副作用による再減量,中止を要した.増量時期は,1~3週で増量している例が多かった.400mg群と800mg群では内服期間,総投与量の平均値は5.7/4.4か月,80600/88892mgと400mg群でも800mg群と同等の投与量,投与期間が得られた.投与期間が長く,総投与量が多いほど生存期間が延長する傾向にあることから,400mg開始も十分な治療効果が期待できる.【結語】ソラフェニブの長期内服により肝細胞癌の予後が改善される可能性が示唆された.十分な期間投与するため開始用量の調節や減量等により副作用対策を行うことが重要と考えられた.400mg開始も800mg開始と同様の治療効果を得られる可能性が示唆された.
索引用語