セッション情報 口演

胃内視鏡

タイトル O-324:

胃静脈瘤に対するethanol B-RTO+on-time EIS併用療法の治療成績

演者 佐藤 亘(秋田大学消化器内科)
共同演者 道免 孝洋(秋田大学消化器内科), 大西 洋英(秋田大学消化器内科)
抄録 【背景と目的】腎静脈系シャントを有する胃静脈瘤の治療としてB-RTOは高い治療効果から全国的に普及しつつあるが,以前はバルーン閉塞時間や溶血性貧血などの偶発症の問題も挙げられていた.当科では,B-RTOにおける硬化剤として無水エタノールとリピオドール混和液を使用し,術中に内視鏡で胃静脈瘤を確認し,塞栓不良部位にon-timeでEISを併用するB-RTO+EIS同時併用療法を施行しており,良好な治療成績をあげている.そこで,同治療の安全性,治療効果,再発の有無などにつき検討した.【対象】2008年1月から2013年8月まで当科でB-RTO+EIS同時療法を施行した19例(男性13例 女性6例)【結果】宿主因子に関しては,施行症例に肝予備能Child-pugh Cの症例はなく,Aが13例,Bが6例であった.EUSによる治療前の静脈瘤径は平均12.9mm.供血路の多くは左胃静脈であった.注入エタノール量は11.6±6.2ml,EISはシアノアクリエート(CA)法を施行し,CA注入量は2.95±1.12mlであった.全例において施行後のEUSおよびCTで胃静脈瘤の完全硬化を認め,胃静脈瘤の再発は認めなかった.食道静脈瘤の発症ないし増悪は6例(31%)に認めた.予後に関しては平均観察期間31ヶ月で2例の死亡(肝細胞癌1例,肝臓非関連死1例)を認めた.合併症に関しては,エタノール注入による術中の腹痛,バイタル変動を60%に認めるものの,鎮痛剤などで保存的に改善し,入院期間の延長を要した合併症は2例に認めるのみであった(肝予備能低下1例,出血1例).大循環への硬化剤の流入は認めず,バルーン閉塞時間も1-2時間と患者負担の少ない治療であった.【結語】エタノールB-RTO+on time EIS同時併用療法は,胃静脈瘤再発を認めず,治療効果,安全性の観点からもEOによるB-RTOと遜色ない治療であり,かつ,術中に内視鏡治療を併用することにより,確実な胃静脈瘤治療が可能であった.
索引用語