セッション情報 口演

胃腫瘍-臨床-3(内科)

タイトル O-329:

一般住民健診におけるABC検診群ごとの胃X線検診要精査率についての検討

演者 秋元 直樹(弘前大学消化器・血液内科)
共同演者 下山 克(弘前大学消化器・血液内科), 珍田 大輔(弘前大学消化器・血液内科), 中路 重之(弘前大学社会医学), 福田 眞作(弘前大学消化器・血液内科)
抄録 【目的】弘前大学医学部は,弘前市岩木地区において短命県返上を目指した岩木健康増進プロジェクトを行ってきた.その中で血清ペプシノーゲン(PG)I,II濃度と抗H. pylori抗体価を測定し,ABC法に基づく胃がんリスクを受診者に通知したが,市が行っている胃X線検診とは連動していなかった.そこで今後ABC検診の結果を胃がん検診へ反映させるべく,ABC法によるリスクを通知された者の胃X線検診受診状況とその結果について調査した.【方法】2012年の弘前市岩木地区の岩木健康増進プロジェクト健診を受診した40才以上の833人を対象とした.問診により,H. pylori除菌治療歴,PPI内服および胃切除歴のある者を検討から除外した.血清抗H. pylori-IgG抗体価の測定にはE-plateを用い,PG I,IIはEIA法により測定した.抗体価は10 U/mL以上を陽性とし,PG I<70 ng/mLかつPG I/II<3.0を萎縮性胃炎ありとした.両者の結果からABC検診のA~D群に分類し,胃がんリスクを通知した.弘前市の胃X線検診の記録から胃がんリスクを通知された者の受診状況と結果を調べた.X線検診の読影は胃がんリスクの結果を知らされずに行われた.【成績】ABC法による胃癌がんリスク分類がA群であった468名のうち217名がX線検診を受診し,受診率は46.4%であった.B群151名,C群165名のうちX線検診受診者は91名と100名であり,受診率は60.3,60.6%であった.要精査率はA群では3.7%であったが,B群では16.5%,C群では18.0%と有意に高かった.D群は20名と少数であったが,X線検診受診率は70%と高かった.【結論】ABC法に基づく胃がんリスクを通知することにより,胃X線検診の効率を改善できた可能性がある.A群は要精査率が低く,このような対象者が毎年X線検診を受診することにならないための方策とともに,C群,D群の受診率をさらに向上させる必要がある.
索引用語