セッション情報 口演

UC(潰瘍性大腸炎)3

タイトル O-340:

当院で経験した潰瘍性大腸炎における5-ASA製剤の副作用

演者 大内 佐智子(兵庫県立加古川医療センター消化器内科)
共同演者 松浦 敬憲(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 廣畑 成也(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 﨏本 喜雄(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 堀田 和亜(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 八幡 晋輔(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 白川 裕(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 山内 健史(製鉄記念広畑病院)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)の治療として5-ASA製剤は基本薬である.経口剤,局所製剤など剤型が増えてきており,十分量を使用することや経口薬と局所製剤を組み合わせることにより,軽症,中等症では十分な効果も期待できるようになった.一方,メサラジンアレルギー(不耐)の存在も指摘されている.今回我々が経験した5-ASA製剤の副作用について報告する.【方法】当院にて通院中のUC患者82例のうち,5-ASA製剤による副作用が見られた8例につき,発症時期,随伴所見,腸炎の状態,その後の治療について検討を行った.82例のうち,時間依存型メサラジン投与は55例,pH依存型メサラジンは43例で,病変の範囲が全大腸に及んだり,薬剤が十分に溶出せずに効果が不十分であったり,再燃時に遠位大腸優位の再燃がみられたたためスイッチした症例を併せている.【結果】好酸球性肺炎1例(pH依存型メサラジン),皮疹2例(時間依存型メサラジン),腸炎の悪化4例(pH依存型メサラジン2例,時間依存型メサラジン2例),発熱2例(pH依存型メサラジン,時間依存型メサラジン)の計8例9.7%であった.メサラジンの製剤による違いは明らかではなかった.発症時期は皮疹のみ投与2日目で,その他の副作用は投与14-16日目に出現した.随伴所見としてCRPが10以上まで上昇した症例は4例あった.DLSTは2例で陽性を認めている.腸炎の悪化症例では発熱も見られた.好酸球性肺炎を除いて,症状は薬の中止ですみやかに改善した.好酸球性肺炎はステロイド治療を行った.5ASA中止後は,ステロイド,アザチオプリン,漢方薬などで寛解維持している.【結論】5-ASA製剤は潰瘍性大腸炎の治療には欠かせない薬であるが,しばしば副作用が見られる.メサラジン不耐では原疾患の悪化と区別がつきにくく,診断が遅れると重症化する場合もあり注意が必要である.
索引用語