セッション情報 口演

UC(潰瘍性大腸炎)3

タイトル O-341:

当院における潰瘍性大腸炎患者の妊娠,出産に関する臨床的検討

演者 大西 敦之(高野病院)
共同演者 野崎 良一(高野病院), 大湾 朝尚(高野病院), 山田 一隆(高野病院)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎患者における妊娠・出産への影響については海外からの報告は,多数存在するが,本邦からの報告はまだ少ない.今回当院における潰瘍性大腸炎患者の妊娠,出産に関する検討を報告する.【方法と対象】当院へ通院中の潰瘍性大腸炎の女性患者119人に対して2012年9月から2013年5月まで調査を行なった.このうち妊娠経験者は85人であり,妊娠時に潰瘍性大腸炎と診断されていた者は15人(総妊娠回数は25回)を対象とした.妊娠時の平均年齢は29.4±4.0歳(23~38歳)であり,平均発症時年齢は23.2±5.1歳(14~33歳)だった.平均罹病期間は5.9±4.1年(1~15年)だった.妊娠時の病状としては活動期が14例(56%),寛解期が9例(36%),不明が2例だった.妊娠時の治療内容としては5-ASA内服が10例であり(このうちペンタサ注腸併用が2例,ステロイド内服併用が1例)ステロイド内服+リンデロン坐剤が2例だった.サラゾピリン内服が1例,メトロニダゾール内服が1例,内服無しが3例だった.生物学的製剤や免疫調節薬を投与されている症例は無かった.【結果】妊娠,出産で異常を来した症例は3例(13%)認めていた.その内容は切迫早産が1例,流産が1例,先天異常が1例だった.妊娠時に症状増悪を来たし,人工妊娠中絶となった症例も2例(8%)認めた.UC活動期症例で妊娠経過,出産で異常を来した症例は4例(29%)であり,寛解期症例1例(11%)と比較し,異常を認めた症例の割合が高かった.【結語】妊娠,出産異常を回避するには,寛解期での妊娠が望ましいと考えられた.
索引用語