セッション情報 口演

UC(潰瘍性大腸炎)3

タイトル O-342:

高齢発症潰瘍性大腸炎の臨床的特徴と問題点

演者 沼田 政嗣(鹿児島大学病院光学医療診療部)
共同演者 上村 修司(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【背景・目的】我が国では高齢化が進んでおり,高齢者に対する診療では特別な配慮を必要とする機会が増加している.潰瘍性大腸炎(以下UC)の多くは若年者に発症するが,近年,高齢発症UCが増加している.今回我々は,高齢発症UCの臨床的特徴について検討した.【方法】2013年8月当科および関連施設を受診したUC患者342例(男性166名,女性176名,平均発症年齢36.4±11.8歳)を対象として,1)発症年1999年以前(A群)または2000年以降(B群)における発症年齢および10歳毎の年齢分布,2)若年発症群(20-39歳,153例)と高齢発症群(60歳以上,40例)における罹病期間・罹患範囲・臨床経過分類・現治療・合併症(心血管系,代謝,筋骨格系,悪性腫瘍,膠原病,呼吸器系,その他)を検討した.上記項目は,臨床調査個人票をもとに分類した.【結果】1)UC患者全体の発症年齢分布では,20-29歳(25.1%)にピークを認め,高齢発症は11.9%であった.A群,B群の平均発症年齢は,34.5歳,36.0歳と有意差はなく,高齢発症の割合は,6.7%,13.9%であった.2)若年発症群と高齢発症群では,罹病期間,罹患範囲,臨床経過分類に関して有意差は認めなかった.一方,若年発症群では免疫調節剤の使用率が有意に高く(p<0.05),高齢発症群では高率に合併症を有していた(p<0.01).他病死は,各群に1名ずつ認めた.【結語】高齢発症UCは増加傾向にあり,若年発症UCに比して臨床的特徴や経過に大きな差異はみられないが,基礎疾患を有する症例が多い.基礎疾患とその治療薬,感染症など,高齢発症UCの治療にあたっては考慮すべき点も多く,高齢者発症UCを対象とした診療ガイドラインの確立が望まれる.
索引用語