セッション情報 | 口演UC(潰瘍性大腸炎)4 |
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タイトル | O-343:活動性潰瘍性大腸炎に対する外来タクロリムス投与の安全性および血中濃度推移に関する前向き多施設共同研究 |
演者 | 長沼 誠(慶應義塾大学内視鏡センター) |
共同演者 | 鈴木 康夫(東邦大学佐倉医療センターIBDセンター), 松岡 克善(慶應義塾大学消化器内科), 金井 隆典(慶應義塾大学消化器内科), 国崎 玲子(横浜市立大学市民総合医療センターIBDセンター), 吉村 直樹(社会保険中央病院IBDセンター), 長堀 正和(東京医科歯科大学消化器内科), 渡辺 守(東京医科歯科大学消化器内科) |
抄録 | 【目的】タクロリムス(Tac)は難治性潰瘍性大腸炎の治療法として有用であるが,治療初期に頻回に血中濃度の測定を要するため,本来入院を要しない症例についても投与量調節のため入院を要する場合がある.外来Tac投与は投与量や採血のタイミング,Tac容量調節などについて一定の見解はない.本研究は外来投与のための独自のプロトコールを作成し安全性,血中トラフ濃度推移,有効性について検討を行った.【方法】Tac外来投与の経験を有し院内で血中濃度が測定可能な5施設20例の活動性潰瘍性大腸炎に対してTacの初期投与量1日0.1mg/kgとし,投与開始後2~4日目,1週目,2週目に血中トラフ濃度測定をおこない,1)有害事象発現率,2)血中トラフ濃度5ng/mL,10ng/mLへ1週間および2週間以内に到達した患者の割合,到達までの日数,外来通院回数,3)投与12週目のPartial Mayo scoreによる寛解率(合計1以下で,血便項目が0になった症例の割合),有効率(各項目が1以上低下した症例の割合)4)治療効果に寄与する因子の検討について前向きに検討した.【成績】20例中13例で副作用が認められたが,副作用のため入院を要した症例はなかった.Tacの中止,減量,対処療法により消失・回復した.投与開始後1週目,2週目までにトラフ値が10ng/mLに達していた症例は60%,95%であった.治療開始後12週目の寛解導入率は25%,有効率は55%であり,再燃寛解例,免疫調節薬未使用,インフリキシマブ未使用例で寛解導入率が高値であった.【結語】本試験は前向きに外来Tac投与の安全性と有用性を検討した初めての研究であり,比較的安全にかつ早期に至適血中濃度に到達させることが可能であることが示された. |
索引用語 |