セッション情報 口演

UC(潰瘍性大腸炎)4

タイトル O-344:

難治性潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスによる中長期経過,寛解維持効果について

演者 伊藤 亜由美(東京女子医科大学病院)
共同演者 大森 鉄平(東京女子医科大学病院), 飯塚 文瑛(東京女子医科大学病院), 高橋 麻依(東京女子医科大学病院), 米沢 麻利亜(東京女子医科大学病院)
抄録 【目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)の寛解導入としてタクロリムス(TAC)の効果は認められている.しかしTACによる寛解導入後の中長期経過(寛解導入後の再燃日数),また寛解維持効果については十分に検討されていない.今回我々はTACによる寛解導入後の中長期経過,寛解維持効果について検討した.【対象】2009年4月~2013年9月までにTACにて寛解導入された25例を対象とした.25症例(男性13例 女性12例)の中長期経過,また寛解導入期間を含めTACを90日間使用し,その後は免疫調整剤アザチオプリンに変更し寛解維持を行った(TAC normal群)13例(男性5例 女性8例),寛解導入期間を含めTACを90日間以上使用し寛解維持を行った(TAC long群)12例(男性8例 女性4例)を対象とした.【方法】TAC normal群とTAC long群に群別し,性別,罹患期間,TAC投与前Hb,CRP,CAI,EAI,寛解導入時のEAI,中長期経過について比較検討した.寛解はTAC投与後4週以降のCAI(Lichtiger score)が4以下と定義した.再燃はステロイドの強力静注,生物学的製剤の投与,TACの再投与,増量投与による血中トラフを高濃度(10ng/dl以上)とし再度寛解導入が必要となった症例と定義した.【結果】寛解導入率は82%であった.TAC normal群,TAC long群では性別,罹患期間,TAC投与前CRP,CAI,EAI,TAC投与2週間後のEAI,中長期経過について両群に有意差を認めなかった.【結論】TACは寛解導入に効果的な薬剤であると認識されていた.しかし今回の検討で免疫調整剤による寛解維持群とTACによる寛解維持群に有意差が認めらなかったことからTACも寛解維持としての効果が期待されると考えた.
索引用語