セッション情報 口演

UC(潰瘍性大腸炎)4

タイトル O-347:

難治性潰瘍性大腸炎に対するチオプリン製剤の粘膜治癒および長期寛解維持効果の検討

演者 山田 聡(京都大学消化器内科)
共同演者 吉野 琢哉(京都大学消化器内科), 南 尚希(京都大学消化器内科), 本澤 有介(京都大学消化器内科), 松浦 稔(京都大学消化器内科), 仲瀬 裕志(京都大学消化器内科)
抄録 【目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)に対する寛解維持療法として,アザチオプリン,6-メルカプトプリンなどのチオプリン製剤や生物学的製剤が用いられている.しかし,本邦におけるチオプリン製剤による粘膜治癒および長期寛解維持効果について検討された報告は少ない.今回我々は,難治性UCに対するチオプリン製剤の粘膜治癒および長期解維持効果について検討を行った.【方法】対象は1998年12月から2013年8月まで当施設で,生物学的製剤を除く寛解導入療法かつチオプリン製剤による治療を受け,粘膜治癒を評価された難治性UC患者55例(男性38例,女性17例,平均年齢36.8歳).治療観察期間中央値は34ヶ月(2-143ヶ月).チオプリン製剤の容量は白血球数3000-5000/μLないし6-TG濃度235-450 pmol/8×108RBCsとなるよう調整した.疾患活動性はmodified Truelove & Witts severity index(MTWSI)を用いて評価し,寛解維持の定義はチオプリン製剤単剤の維持治療かつMTWSI 4以下とした.粘膜治癒はMayoスコア1以下と定義した.【結果】55例のチオプリン製剤投与開始までの平均罹病期間は55.6ヶ月,平均MTWSIは5.7であった.55例中38例(69.1%)はチオプリン製剤単剤により寛解維持することができた.Kaplan-Meier法による累積寛解維持率は78.9%(投与後1年),62.2%(3年),57.0%(5年),45.6%(7年)となり,累積大腸非切除率は71.3%(11年11ヶ月)であった.寛解維持できた38例のうち23例(65.7%)に粘膜治癒が認められ,粘膜治癒が得られた群の累積寛解維持率は,得られなかった群に比べ有意に高かった(33.1% vs 0.0%,p=0.03).【結論】チオプリン製剤による寛解維持療法は,難治性UC患者の長期寛解維持および粘膜治癒に有用であることが示唆された.
索引用語