セッション情報 口演

食道静脈瘤治療

タイトル O-350:

内視鏡的硬化療法における「二期的治療」の有用性

演者 上嶋 昌和(奈良県立医科大学第三内科)
共同演者 瓦谷 英人(奈良県立医科大学第三内科), 松村 雅彦(奈良県立医科大学地域医療学), 福井 博(奈良県立医科大学第三内科)
抄録 【目的】当施設では従来,食道静脈瘤に対する内視鏡治療は,1週毎に硬化療法(EIS)を行い1回の入院で静脈瘤治療を完結させる方式をとっていた.しかしこれでは,食道粘膜・静脈瘤の浮腫状変化や穿刺後潰瘍が充分治癒しないままに翌週EISを行う,あるいは静脈瘤内血栓化が進行中の静脈瘤に翌週EISを行う可能性がある,などの問題点があった.われわれはこれらを解決すべく,2期に分けてEISを行う「二期的治療」を2006年から開始した.今回,1回の入院でEISを完結する「一期的治療」と比較して,その治療効果につきretrospectiveに検討を行った.【方法】「二期的治療」とは,最初の入院でEISを2回施行し一旦退院,3回目以降を再入院で行うものである.EISに際し内視鏡先端に透明フードを装着して手技を行った.一期的治療も二期的治療の2回目入院も,共に静脈瘤形態が消失するまでEISを行い,最終のEIS時にアルゴンプラズマ凝固(APC)で1回粘膜治療を追加した.効果判定は治療終了後1~3ヵ月の間で行い,RCサイン出現を以て再発と判定した.対象は2006年10月以降でEISを施行し,治療終了後6ヵ月以上経過を追うことができた73症例で,「一期的治療」(以下:一期群)32症例(予防24例,待期8例)と「二期的治療」(以下:二期群)41症例(予防37例,待期2例,緊急2例)である.2群間で入院日数・EIS回数・治療効果・再発率・再出血率について検討を行った.【成績】1回の平均入院日数は一期群で38.3±12.1日,二期群で20.6±5.5日と,二期群で有意に短期間であった.二期群で1回目と2回目入院の治療間隔は平均10.2週間であった.EIS平均回数は一期群で3.7回,二期群で4.3回であった.著効率は一期群で81.3%,二期群で87.8%と,二期群で高率であった.1年後非再発率は一期群で78.1%,二期群で90.1%(p=0.175)であった.再出血は一期群で3例(9.3%),二期群で2例(4.9%)であった.【結論】「二期的治療」では「一期的治療」と比較して高い治療効果が認められた.
索引用語