セッション情報 口演

大腸 その他1

タイトル O-352:

最近10年間で大腸憩室症はどのように変化したか:当院の検討から

演者 岡本 真(JR東京総合病院消化器内科)
共同演者 關場 一磨(JR東京総合病院消化器内科), 坪井 真代(JR東京総合病院消化器内科), 黒岩 貴之(JR東京総合病院消化器内科), 松村 梓(JR東京総合病院消化器内科), 松本 裕太(JR東京総合病院消化器内科), 八木岡 浩(JR東京総合病院消化器内科), 大前 知也(JR東京総合病院消化器内科), 赤松 雅俊(JR東京総合病院消化器内科)
抄録 【目的】わが国の大腸憩室症は増加しているといわれるが,具体的にどのように変化しているか,当院での大腸内視鏡症例を対象にして検討した.【方法】当院で演者が行なった内視鏡施行症例を対象とした.2000~02年を前期,2010~12年を後期とし,頻度や分布,出血や憩室炎の合併症などを比較検討した.【成績】(1)対象は,前期824例(男性587,女性237,平均60歳),後期856例(男性587,女性269,平均60歳).(2)憩室症の頻度:全体では前期34.6%(285/824),後期49.9%(427/856)で有意に増加していた.男女別にみると,男性は前期39.5%(232/587),後期53.7%(315/587),女性は22.4%(53/237),41.6%(112/269)であり,ともに有意に増加していたが,特に女性は約2倍に増加していた.年齢階層別では,前期vs.後期とすると,39歳以下0%(0/35)vs.18.5%(12/65),40歳代27.5%(28/102)vs.38.7%(43/111),50歳代33.6%(90/268)vs.51.5%(122/237),60歳代40.1%(79/197)vs.55.0%(131/238),70歳以上39.6%(88/222)vs.58.0%(119/205)であり,各年齢群で増加していたが,特に後期では39歳以下の若年での憩室症が認められた.(3)憩室症の分布:前期は右側型66.3%,左側型13.7%,両側型20.0%,後期はそれぞれ58.1%,8.7%,33.3%であり,両側型を含めた左側結腸憩室が増えていた.(4)憩室合併症:憩室症例の中で憩室出血や憩室炎の合併症を認めた症例は,前期2.5%(出血5,憩室炎2),後期6.6%(出血22,憩室炎6)で増加していた.特に70歳以上の憩室出血に限ると,前期2.3%(2/88),後期9.2%(11/119)と4倍に増加していた.【結論】わが国の大腸憩室症は全体に増加しているが,特に女性の増加が目立ち,若年化している.分布では左側結腸憩室が増えている.出血や憩室炎など合併症も増加しており,特に高齢者の憩室出血が増加著しい.
索引用語