共同演者 |
徳弘 直紀(日本大学消化器肝臓内科学), 牧野 加織(日本大学消化器肝臓内科学), 宮田 隆(日本大学消化器肝臓内科学), 大山 恭平(日本大学消化器肝臓内科学), 春田 明子(日本大学消化器肝臓内科学), 中村 由紀(日本大学消化器肝臓内科学), 川島 志布子(日本大学消化器肝臓内科学), 永井 晋太郎(日本大学消化器肝臓内科学), 堀内 裕太(日本大学消化器肝臓内科学), 上原 俊樹(日本大学消化器肝臓内科学), 好士 大介(日本大学消化器肝臓内科学), 岩本 真帆(日本大学消化器肝臓内科学), 菊池 浩史(日本大学消化器肝臓内科学), 佐藤 秀樹(日本大学消化器肝臓内科学), 原澤 尚登(日本大学消化器肝臓内科学), 松村 寛(日本大学消化器肝臓内科学), 宇野 昭毅(日本大学消化器肝臓内科学), 森山 光彦(日本大学消化器肝臓内科学) |
抄録 |
【目的】急性出血性直腸潰瘍(AHRU)は,下部消化管出血を来たし,その原因/誘因として長期臥床,便秘や宿便,NSAIDs坐薬使用などが考えられている.高齢化により,NSAIDs/抗血栓薬使用が増加し,AHRUの増加も予想される.当院におけるAHRU症例をNSAIDs/抗血栓薬(抗凝固/抗血小板薬)使用の有無を中心に検討する.【方法】2006年-2013年6月の7年半でのAHRU52例について,NSAIDs/抗血栓薬使用別に臨床的/内視鏡的事項を後ろ向きに検討した.NSAIDs使用者をN群,抗血栓薬A群,両薬剤NA群,どちらも使用無しC群とした.【成績】男24,女28例.NSAIDs使用は25例(48%),抗血栓薬使用は,22例(42%),両者の併用6例(11%),いずれか使用41例(79%)と高率であった.年齢は41-92歳,平均は,全体72.6,C群70.6,N群70.4,NA群75.5,A群75.6.基礎疾患は,心/動脈硬化性疾患が29例(56%),関節/筋肉系疾患15(29),悪性腫瘍の転移や末期13(25),糖尿病13(25),血液透析7(13).便秘は28例(76%)で有していた.他疾患のため入院中が,全体38例(73%)と高率で,C群4(36),N群15(79),NA群6(100),A群13(81).発症直前のPS 3,4(ほぼ寝たきり-寝たきり)は,全体34例(65%),C群4(36),N群13(68),NA群5(83),A群12(75).Forrest1a,1b,2aで内視鏡的止血を要したのは,全体30例(58%),C群5(45),N群11(58),NA群5(83),A群9(56).転帰は,褥瘡から敗血症/DIC合併で間欠的に出血の続いた透析患者1例を含め他疾患のため死亡7例(14%),転院24(46),退院21(40).死亡はC群0例,N群1,NA群4,A群2.【結論】AHRUは,高齢,便秘,基礎疾患のため入院中,PS不良,NSAIDs/抗血栓薬使用患者が多かった.これらの薬剤がAHRUの発症や重症化の一因と推測された.NSAIDs/抗血栓薬の適正使用,便秘対策,長期臥床の回避などによる発症予防を消化器以外の医師やパラメディカルへ啓蒙する事も必要と考える. |