セッション情報 口演

大腸 その他1

タイトル O-354:

当院における腸管ベーチェット病に対する治療実態と抗TNFα製剤の効果

演者 林 洸太郎(富山県立中央病院内科)
共同演者 松田 耕一郎(富山県立中央病院内科), 原 泰将(富山県立中央病院内科), 在原 文教(富山県立中央病院内科), 堀田 洋介(富山県立中央病院内科), 松田 充(富山県立中央病院内科), 酒井 明人(富山県立中央病院内科), 野田 八嗣(富山県立中央病院内科)
抄録 【目的】今回われわれは,当院における腸管ベーチェット病に対する治療実態を調査し,インフリキシマブおよび本年5月より保険適応となったアダリムマブの治療効果について,従来型治療と比較しつつ検討した.【対象と方法】現在までに当院にて治療した腸管ベーチェット病15例を対象とした.平均年齢47.2才(16-76才),男女比8対7,平均罹病期間10.5年(2-28年)であった.腸管病変は,回盲部が10例と最も多く,重複はあるものの,上行結腸3例,横行結腸1例,下行結腸1例,S状結腸1例であった.これら15例の治療実態と抗TNFα製剤の効果について検討した.【結果】治療内容では5ASA10例と最も多く,ステロイド6例,アザチオプリン5例,インフリキシマブ2例,アダリムマブ2例などであった.経過中最も多い組み合わせは5ASAとステロイドの併用で,次に5ASAとアザチオプリンの併用であった.5ASAのみの単剤治療が2例に認められた.症状増悪による入院回数は平均3.4回(0-12回)で,抗TNFα抗体製剤使用可能となる以前の症状増悪時には,ステロイド,5ASA,アザチオプリンの追加・増量,回盲部切除などの追加治療にて対応されていた.上記薬剤の増量また併用にて症状改善が見られなかった例では,2例でインフリキシマブを使用し,うち1例で回盲部切除を要し,残る1例では出血のコントロールがつかず最終的には死亡した.2例でアダリムマブを使用し,16才男性の1例では,アダリムマブ併用後に著明改善し約3ヶ月安定した状態が続いている.71才男性の1例では,同剤投与後約2か月安定した後腹痛にて入院したが,内視鏡で腸管病変の改善が見られ症状も安定したためその後もアダリムマブ使用を継続している.15例の全経過において,回盲部切除された例は4例,死亡例は前述の1例のみであった.【結語】腸管ベーチェット病において,多剤併用しても増悪した場合は,抗TNFα製剤としては,アダリムマブは試みる価値のある治療法と思われた.
索引用語