セッション情報 口演

大腸 その他1

タイトル O-356:

CD腸炎の診断と再発リスク因子の検討

演者 檜沢 一興(九州中央病院消化器内科)
共同演者 工藤 哲司(九州中央病院消化器内科), 守永 晋(九州中央病院消化器内科), 井原 勇太郎(九州中央病院消化器内科), 江崎 幹宏(九州大学病態機能内科学), 飯田 三雄(九州中央病院消化器内科)
抄録 【目的】C. difficile(CD)腸炎の内視鏡所見と再発要因を明らかにする.【対象および方法】過去5年間に当科で大腸内視鏡を施行したCD腸炎30例を対象に診断と治療経過を検討した.平均8.6(1~46)カ月の観察期間に再発した再発群9例と非再発群21例を比較し再発のリスク因子を検討した.【結果】対象は男性13例女性17例で,診断時年齢は平均73(18~95)歳だった.29例97%に下痢,10例33%に発熱,2例7%に腹痛を認め,27例90%は抗生剤投与から平均18(3~60)日後に発症していた.抗生剤はcephem 24例89%,quinolone 11例41%,penem 7例26%,CLDM 4例15%で,15例56%は多剤が投与されていた.原因は肺炎11例41%,外科系手術7例26%で,基礎疾患は肺疾患14例47%,脳血管疾患11例37%,心疾患8例27%の順に多く,長期臥床を13例43%,制酸剤投与を15例50%に認めた.遠位大腸の内視鏡所見は発赤のみ(R型)5例,アフタ中央に微小偽膜(A型)4例,微小偽膜のみ(P1型)4例,斑状の偽膜(P2型)12例,癒合した偽膜(P3型)5例に分類できた.盲腸まで観察した8例中2例25%(R型1例,P1型1例)は盲腸に集簇する偽膜を認めた.糞便検査では22例73%がCDトキシン陽性で,他の8例は内視鏡所見で本症と診断した.観察中9例に計23回,平均2.6(1~4)回の再発を認めた.再発間隔は平均16.4(1~110)日で,18件78%は2週間以内に再発していた.VCM漸減療法は4件中1件25%,VCMクエストラン療法は2件中1件50%,VCM漸減RFP療法は2件中2件100%に有効だった.両群間では観察期間,年齢,性別,CDトキシン陽性率,先行抗生剤,基礎疾患に有意差はなかったが,再発群では非再発群に比較して発熱(6例67% vs. 4例19%)や制酸剤投与例(7例78% vs. 8例38%)が多く,明瞭な偽膜を有するP2/P3型の内視鏡所見(8例89% vs. 9例43%)が多かった(p<0.05).【結語】CDトキシン陰性例や非定型例では盲腸までの内視鏡観察が本症の診断に有用な場合があり,明瞭な偽膜形成例では再発に注意が必要である.
索引用語